1996 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞における光情報伝達機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
06454015
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 九州大学, 理学部, 教授 (00124347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 俊則 九州大学, 理学部, 教務員 (50271101)
土井 道生 九州大学, 理学部, 助手 (00167537)
和田 元 九州大学, 理学部, 助教授 (60167202)
|
Keywords | 気孔 / 青色光効果 / プロトンポンプ / 光情報伝達系 / リン酸化 / 脱リン酸化 / プロテインキナーゼ / プロテインフォスファターゼ |
Research Abstract |
気孔孔辺細胞プロトプラストに青色光を当てると、プロトンが放出され気孔開口の駆動力となることが知られている。しかし、青色光がどの様な情報伝達系を介して原形質膜のプロトンポンプを活性化するのか不明の点が多い。本年度は青色光が100kDaのタンパク質を脱リン酸化し、その脱リン酸化がプロトンポンプの活性化に重要な働きを持つことを見出した。孔辺細胞プロトプラストに30秒の青色光を照射すると光照射後、直ちにプロトンが放出され、2ないし3分後に最大速度に達する。あらかじめ32P-ATPをプロトプラストに添加しておき、青色光照射前に孔辺細胞タンパク質を2次元電気泳動により分離の後オートラジオグラフィを行うと、多くのタンパク質がリン酸化されていた。青色光を照射し、その2分後にタンパク質のリン酸化レベルを調べると、100kDaタンパク質が脱リン酸化された。この脱リン酸化はフォスファターゼ阻害剤カリクレンA(1マイクロモル)に完全に阻害された。一方、青色光依存のプロトン放出もまた、フォスファターゼ阻害剤、カリクレンAとオカダ酸に阻害され、その50%阻害の濃度はそれぞれ4、5と400nMであった。さらに、光依存の気孔開口もカリクレンAとオカダ酸に強く阻害された。また、孔辺細胞原形質膜プロトンポンプに対する抗体を作製しその反応性を見ると、107kDaのタンパク質と反応し、100kDaとは反応しなかった。以上の結果は100kDaタンパク質が青色光に脱リン酸化されるが、この脱リン酸化はおそらくタイプ1フォスファターゼを介して起こり、この脱リン酸化がプロトンポンプ活性化に関与していることを示している。
|
Research Products
(1 results)