1995 Fiscal Year Annual Research Report
殖を調節する生殖腺刺激ホルモン遺伝子の分子生物学と産生細胞の発生に関する研究
Project/Area Number |
06454019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加藤 幸雄 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (30114177)
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Keywords | 下垂体 / 生殖刺激ホルモン / 転写調節因子 / ホルモン / 転写調節 / ゴナドトロピン / ブタ / 生殖 |
Research Abstract |
当該研究では、FSHとLHの遺伝子発現に関わる調節因子を明らかにし分子レベルの調節機構を解明すること、また、遺伝子発現の特異性を支配する固有の因子を純化し・同定し、その分子構造を遺伝子・タンパク質レベルで明らかにすることを目指した。下垂体組織から抽出した核タンパク質をクロマトグラフィーにより分離精製を行い、分子量35k〜110Kの特異的結合タンパク質が存在することを確認した。それらはいずれも下垂体組織には存在が確認されず組織特異性の高い分子であることがわかった。しかし、その量は微量であり本因子の同定をcDNAのクローニングから行うこととした。大腸菌で発現させた下垂体由来のタンパク質を標識した生殖腺刺激ホルモン遺伝子断片との結合によってクローニングする、サウスウエスタン法を用いて行ったところ、3次スクリーニングまで陽性クローンを追跡できたが、その後のクローン化ができなかった、偽陽性によって純化の進行に伴い同定にいたらなかったと判断した。そこで、戦術を転換し、酵母を用いた発現クローニングを行った。まず、遺伝子上流を酵母のアミノ酸合成酵素遺伝子に連結して、このキメラ遺伝子を酵母遺伝子上に乗せた株を作製した。組み込んだアミノ酸合成酵素遺伝子のプロモーターを活性化するドメインをもつ酵母の発現ベクターに、融合タンパク質の形で連結したcDNAライブラリーを構築した。このライブラリーをさきに作製した酵母株に導入し発現させ、酵母をアミノ酸合成酵素の発現で選択することにより、生殖腺刺激ホルモン遺伝子に特異的に結合する因子のクローン化を行った。現在、数十のクローンが得られており、塩基配列の解析を急いでいる。 LHRHのような細胞外のシグナルが生殖腺刺激ホルモン遺伝子の発現を高めるが、それらのシグナルは核内ではいわゆる転写調節因子を動かしている。これらの因子を下垂体で調べたところ、cJunとcFosが存在することが分かり、さらに、これら因子はLHRHによってそのmRNAレベルが高まる形で調節されていることが判明し、これらの成績を報告した。下垂体にはこれらの因子と協調して遺伝し特異的な調節をする因子の存在が予想されており、タンパク質-タンパク質相互作用を利用したクローニングを進めている。 また、上記の因子群の機能を解析するためには生殖腺刺激ホルモン遺伝子を発現する細胞株が有用な道具である。T-抗原を組み込んだトランスジェニックマウスの下垂体を用いてこの細胞株の樹立を進めている。現在のところまだ細胞株は得られていないが、引き続き実験を継続する。
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[Publications] Tadokoro N: "Expression of prolactin gene in human decidua during pregnancy detected by in situ hybridization histrochemistry" Endocr J. 42. 537-545 (1995)
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[Publications] Kato Y: "Gonadotropins : Basic view and gene expression" Korean J Animal Reprod. 19. 15-34 (1995)
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[Publications] 玄浩一郎: "性成熟と配偶子形成に働くホルモン" 化学と生物. 33. 784-792 (1995)
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[Publications] Shimizu H: "Estrogen increase hypothlamic neuropeptide Y (NPY) mRNA expression in ovariectomized obese rat" Neurosci Lett. 204. 81-84 (1996)
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[Publications] Chung H-O: "Molecular cloning of c-jun and c-fos cDNAs from porcine anterior pituitary and their involvement in gonadotropin-releasing hromone stimulation" Mol Cell Endocrinol. (in press). (1996)
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[Publications] 加藤幸雄: "組換え体性腺刺激ホルモンの産生と応用" 獣医畜産新報. 49. 39-43 (1996)
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[Publications] 加藤幸雄: "「ホルモンの分子生物学」第一巻" 学会出版センター(印刷中), ( 1996)