1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454028
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤 義博 九州大学, 理学部, 教授 (60037265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 明子 九州大学, 理学部, 助手 (80231611)
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Keywords | 機械受容 / 感覚子 / 弦状感覚子 / 鐘状感覚子 / 張力受容器 / 感覚繊毛 / 急速凍結法 / 昆虫 |
Research Abstract |
昆虫の体表には機能的、形態学的に明確に区別される3種類の機械受容器が分布する。これら3種類の機械受容器では刺激受容機構も異なると考えられているが、これを直接解明しようとした研究は少ない。本研究では超微形態学的解析を基礎として、これらの受容器の刺激受容機構の解明を試みた。7年度は弦状感覚子、鐘状感覚子の2種の機械受容細胞の動的特性を調べ、以下の知見を得た。 (1)弦状感覚子の感覚繊毛は運動繊毛と類似する特徴を備えていることが、6年度行った急速凍結法で明らかになった。しかしながら、鞭状の感覚繊毛が機械刺激を受容し、受容器電位を発生する機構は不明であった。本年度は、被刺激状態と休止状態の感覚繊毛の形態を比較した。被刺激状態の感覚繊毛が著しく屈曲していたことから、機械刺激が繊毛の能動的あるいは受動的運動を引き起こし、この動きが繊毛基部で受容され、そこで受容器電位が発生する可能性が示唆された。 (2)鐘状感覚子の受容細胞の感覚繊毛先端部には管状体とよばれる微小管の密な集合からなる構造が含まれることが知られていた。6年度の急速凍結による観察で、管状体は微小管の間にアクチンフィラメントが規則的に配置されたより高次の構造であることが明らかになった。7年度はこれら細胞骨格の役割を確かめる目的で、それらの阻害剤の刺激応答に対する効果を調べた。微小管の脱重合剤であるコルヒチンあるいはビンブラスチンは機械刺激に対する受容細胞の応答を減少させた。アクチンの阻害剤であるサイトカラシンの効果については明確な結果は得られなかった。実験方法に問題も残るが、鐘状感覚子では刺激受容部は感覚繊毛の先端に局在し、刺激による管状体の機械的変位が、受容器電位発生に関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A. Mizutani: "Optical and physiological properties of the larval visual system of the tiger beetle, Cicindela chinensis" J. Comparative Physiology. 177. 591-599 (1995)
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[Publications] A. Mizutani: "Behavioral analysis for switching of the distinct visual responses of the tiger beetle (Cicindela chinensis) larva" J. Comparative Physiology. 181. (1996)