1995 Fiscal Year Annual Research Report
クスノキ目における生殖構造の形質研究:単子葉植物綱の起源を探る
Project/Area Number |
06454031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60089604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正道 香川大学, 教育学部, 教授 (00154865)
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Keywords | 花粉 / クスノキ科 / クシノキ目 / ハスノハギリ科 / モニミア科 / Embryology / Hortonia / pollen |
Research Abstract |
研究代表者戸部は、まずクスノキ科について、前年度にひきつづき生殖構造の成果をまとめた。それらのデータと、既に知られている材の構造を含む栄養器官のデータを合わせた全33形質に基づいて、モニミア科、ゴモルテガ材、ハスノハギリ科を外群として、クスノキ科約50属のうち31属について最節約原理による系統解析を行い、生殖構造の形質進化を検討した。その結果、クスノキ科に5つの属の単系統群と9つの単一属からなる系統群が得られた。これらの合意系統樹に基に生殖構造の形質進化をみると、中果皮が内層と外層に分化する性質は、Beilschmiediaを含む4属で1回進化したものであり、中果皮に厚膜細胞が分化する性質は3回平行進化し、厚膜細胞が集団的に分布する特徴はEndicheriaを含む3属で、厚膜細胞が外果皮の内側に分布する特徴はAnibaを含む4属で、それぞれ1回づつ進化したものであることが明らかになった。さらに、アメーバ状型タペ-ト細胞がMezilaurusを含む17属で1回進化し、成熟背嚢の先端が珠心から飛び出す性質はCaryodaphnopsisを含む5属で1回進化したものであることが明らかになった。 モニミア科については、クスノキ科における生殖構造の形質進化を解析するために使った外群ホルトニア亜科の材と樹皮の構造データを補うために、基準標本を含む材サンプルを使って観察、記述し、原稿にまとめた。モニミア科の生殖構造のデータは現在観察をまとめている。 分担者高橋は、クスノキ目の花粉外膜の比較研究のために、ハスノハギリ科ロウバイ科のデータを収集し、現在まとめつつある。クスノキ科には花粉形態に4つのタイプがあることが推定されつつあり、形質進化の解析にも入る段階にきている。
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Research Products
(1 results)