1994 Fiscal Year Annual Research Report
独立栄養細菌による海底鉱物資源からの有価金属回収システム
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06454038
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
浅井 悟 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90081348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学部, 講師 (90167403)
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Keywords | 海底鉱物資源 / マンガンノジュール / 好熱性細菌 / 硫酸還元細菌 / 有価金属 / 浸出 / 沈殿 / 硫化水素 |
Research Abstract |
好熱性細菌などによる海底鉱物資源からの各種有価金属の浸出,ならびに硫酸還元細菌が生成する硫化水素を利用した浸出液からの有価金属の沈殿・回収を目的として研究を行い,次の諸点を明らかにした。 1.海底鉱物資源からの有価金属の浸出 好酸性・好熱性細菌(Acidianus brierleyi),硫黄酸化細菌(Thiobacillus thiooxidans),鉄酸化細菌(Thiobacillus ferrooxidans)は,液体培地に添加した硫黄を酸化して亜硫酸,硫酸を生成し,その化学作用によりマンガンノジュールから各種の有価金属を浸出させた。有価金属の浸出能は,3種類の細菌のうちでA.brierleyiが最も優れていた。A.brierleyiを用いた場合について,各種の有価金属の浸出率に及ぼす各種操作因子(培地pH,初期菌体濃度,元素硫黄添加量,ノジュール添加量)の影響を明らかにした。最適操作条件下において,銅,亜鉛は3日以内に浸出率が100%に,コバルト,ニッケルは10日目で浸出率が70%前後に達した。 浸出液からの有価金属の回収 浸出液中の硫酸イオンをエネルギー源として利用する硫酸還元細菌(Desulfovibrio desulfuricans)の回分培養実験から,硫酸イオンの還元量と硫化水素の生成量はモル比で1:0.9の関係になることがわかった。回分培養の進行に伴い,培地中の全硫化物濃度が0.5kg/m^3以上になると,還元速度は低下した。細菌の生育に有害な硫化水素を系外に排出し,有価金属の沈殿操作に利用する上で,培養液への窒素通気は有効な操作であった。窒素通気下で実測された増殖速度と還元速度を解析し,細菌の菌体収率や最大比増殖速度を求めた。菌体収率は培地pHに無関係に一定値になったが,最大比増殖速度はpH7.0で最大値を示した。細菌による硫化水素の生成に比べて,金属硫化物の沈殿は極めて迅速に起こるので,浸出液からの有価金属の回収操作までは硫化水素の微生物的生成が律速になることも明らかになった。
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