1994 Fiscal Year Annual Research Report
トマトNr2突然変異体を用いた果実の成熟開始因子としてのアブシジン酸の役割の解明
Project/Area Number |
06454052
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 茂 東北大学, 農学部, 助教授 (40108428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 俊人 東北大学, 農学部, 助手 (10240243)
|
Keywords | ABA / アブシジン酸 / エチレン / 果実成熟開始因子 / トマト |
Research Abstract |
研究実績 (1)平成6年9月半ばまでに,次年度以降の研究に必要な量のNr-2およびRutgersの種子を生産し冷凍保存した. (2)平成6年の8月下旬から10月に掛けて,ABAの分析に使用する遠心エバポレーター・高速液体クロマトグラフ・マイクロプレートリーダーの購入と立ち上げを終えた。 (3)トマトの茎葉部からABAを80%メタノールで抽出し,LC-C18およびLC-NH_2の2種類のSPEカラム(SUPELCO,1ml Vol.)を使って精製した後,Wakosil-II5C18ARカラム(φ15mm x25cm)を用いたHPLCで分離し,A252nmで定量する方法を確立した. (4)現在(平成7年3月),Nr-2およびNr,Rutgers種のトマトを温室内で栽培した植物を材料にしてABAの分析を行っている.今後は,HPLCでの定量値と,マイクロプレートリーダーを用いたイムノアッセイの定量値との比較を行う予定である. 研究の評価 (1)当初計画した,Nr-2,Nr,Rutgers種の種子の準備は予定通りに進んだ.また茎葉のABA含量の比較検討も予定通り進んでいる. (2)Nr-2種の種子の生産過程で,この突然変異体果実の成熟過程を観察した.Nr-2果実では,リコペンの生成による赤色化は起こらなかったが,果実の軟化は正常型果実と同じようにおこった.前者はエチレンによって誘導される反応,後者はエチレンに依存しない反応であることが明かにされている.このことからも,トマト果実の成熟開始に働く因子は,エチレン以外にあることが示唆されこの研究全体の意義が確認された.
|