1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454060
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
露無 慎二 静岡大学, 農学部, 教授 (30090541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 育生 農林水産省, 農業環境技術研究所, 研究員
瀧川 雄一 静岡大学, 農学部, 助教授 (90163344)
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Keywords | 植物病原細菌 / 同定 / カンキツかいよう病菌 / avr / pth遺伝子 / hrp遺伝子群 / グルカン関連遺伝子 / 植物体内増殖 / ペクチン酸リアーゼ |
Research Abstract |
植物病原細菌を同定する場合、培養学的性状によるグループ分けの他に、宿主植物の範囲、病徴などが特別重要な意味を持つ。そこで、本年度は、こうした表現型を司る遺伝子に着目し、カンキツかいよう病菌(Xanthomonas campestris pv.citri)では、カンキツ類にかいよう症状を引き起こすavr/pth遺伝子、グルカン生産関連遺伝子、hrp遺伝子群、植物体内の病原細菌の増殖を司る新しい病原性遺伝子について、蔬菜類軟腐病菌(Erwinia group)では、ペクチン酸リアーゼ生産遺伝子pelEについて、夫々をクローニングし、マーカーエクスチェンジ法により病原細菌に変異を導入して病原性を確認した後、これらの遺伝子を用いたサザン解析等による植物病原細菌の同定における有用性について検討を行った。その結果、(1)avr/pth遺伝子群はXanthomonas属細菌において共通して保存されているが、一部のAgrobacterium属細菌においても存在し、これらの細菌グループを簡便に同定することが出来ることが判明した。また、この遺伝子群を用いることにより、これらの細菌の下位分類も可能であった。(2)hrp遺伝子群もXanthomonas属細菌間で保存されていたが、これと相同性を示したのは、Pseudomonas solanacearumのグループだけであった。また、これをプローブとしたサザン解析によって両グループの細菌の下位分類を行うことが出来た。(3)植物体内増殖に必要な遺伝子は全く新しい病原性遺伝子であり、この遺伝子も植物病原細菌内における分布、相同性の違いによって、植物病原細菌の同定に応用できるであろう。以上のごとく、病原性遺伝子をプローブとすることにより、植物病原性をよく反映した同定を行うことが出来ることが明かとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Mulya et al.: "The presence of region homologous to hrp cluster of..." Ann. Phytopath. Soc. Japan. (印刷中). (1996)
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[Publications] K.Mulya et al.: "Suppression of bacterial wilt disease of tomato by root..." Ann. Phytopath. Soc. Japan. (印刷中). (1996)
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[Publications] 露無慎二: "植物病原細菌による宿主認識の分子機構" 日本農芸化学会誌. 62. 193-196 (1995)
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[Publications] S.Tsuyumu et al.: "Factors involved in the pathogenicity of Xanthomonas..." Proc. Japan‐US. Scientific Seminar. 92-101 (1995)
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[Publications] J.Jhoncon et al.: "Cloning of a region encoding multiple polygalacturonases..." Ann. Phytopath. Soc. Japan. 60. 281-287 (1995)
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[Publications] M.Nakajima et al.: "Similarity of streptomycin resistance gene(s) in Pseudomonas syringae pv." Ann. Phytopath. Soc. Japan. 61. 489-492 (1995)
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[Publications] 露無慎二(分担): "植物病理学事典" 細菌の遺伝と進化-細菌の遺伝子、細菌の病原性-軟腐, 339‐343,520‐521 (1995)
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[Publications] 露無慎二他: "植物細菌病の発生生態、防除および分子生物学" カンキツかいよう病菌の病原性関連遺伝子の解析, 48‐52 (1995)