1994 Fiscal Year Annual Research Report
イネの維管束組織特異的に発現するグルタミン代謝関連酵素の窒素転流における役割
Project/Area Number |
06454070
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 知行 東北大学, 農学部, 教授 (30144778)
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Keywords | イネ / 維管束組織 / 窒素転流 / グルタミン合成酵素 / グルタミン酸合成酵素 / 免疫組織学的解析 / cDNAクローニング / mRNA |
Research Abstract |
イネの窒素利用において、老化組織から生長中の若い組織に転流する窒素は、イネの生育にとって極めて重要なプロセスである。この窒素転流の分子機構を解明するために、窒素を送り出す老化組織で鍵を握る細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)、並びに窒素を受け取る若い組織で鍵を握るNADH依存性グルタミン酸合成酵素(NADH-GOGAT)に焦点をあて、以下の研究成果を得た。 1)老化葉の維管束組織におけるGS1タンパク質の組織内分布を、GS1特異抗体を用いて免疫組織学的に解析した。その結果GS1タンパク質は、維管束組織の伴細胞に主に依存していることが判明した。伴細胞には維管束組織の中では代謝が活発でミトコンドリアも多数存在しており、転流物質を師管へ送り出す機能を持つと考えられている。この伴細胞にGS1が主に存在していた結果、GS1が転流窒素の主な形態であるグルタミンを合成する機能を持っていることを強く示唆している。 2)若い組織で、転流してきたグルタミンをグルタミン酸に変換する役割を持つと考えられるNADH-GOGATのcDNAを得る目的で、現有の0.8kbcDNA断片をプローブとしてクローニングを進めたが、全鎖長を含むと考えられる長いcDNAはまだ得られず、現在も実験を継続している。なお、cDNAを評価するために必須であるNADH-GOGATタンパク質のアミノ酸配列を、精製酵素を断片化することにより、5ヶ所について決定した。 3)NADH-GOGAT遺伝子発現を転写レベルで解析するために、イネ組織からのmRNAの調整が必須となる。イネはRNA分解活性が強いことから、RNA抽出条件の最適化を検討した。 上記2)と3)は、来年度さらに詳細に研究を進める予定である。
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