1995 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌由来ペニシリン結合蛋白質の構造と機構
Project/Area Number |
06454074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松沢 洋 東京大学, 農学部, 教授 (00011966)
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Keywords | β-ラクタム抗生物質 / MRSA / ペニシリン結合蛋白質 / MRSA-PBP / 第三世代セフェム系抗生物質 / β-ラクタマーゼ / 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ / 蛋白質工学 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、蛋白質の結晶化をめざして、N末端欠失・水可溶型MRSA-PBPの大量生産と精製を精力的に試みたが、いずれもうまく行かず、成果を上げることはできなかった。 そこで、もう一つの研究計画であり、MRSAと同様社会問題となっている、第三世代セフェム系抗生物質分解能を持つ、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼの研究を集中的に行った。本研究で用いたのは、大腸菌から得られたプラスミド性クラスAβ-ラクタマーゼで、アミノ酸配列の比較により、通常のクラスAβ-ラクタマーゼからの2箇所のアミノ酸置換変異が本酵素の性質の獲得に重要であると推定された。すなわち、Arg244→ThrとGlu274-(Arg275)-Asn276→Arg-(Arg)-Argである。これらはいずれも基質のカルボキル側鎖を確認する部位にあると考えられた。これら残基の本酵素での重要性を明らかにするため、部位特異的変異により、Thr244→Arg、Arg274→Glu、Arg276→Asnのアミノ酸置換を導入した変異型酵素を作製し解析した。その結果、以下のことが明らかになった。 変異型酵素の発現プラスミドを持つ大腸菌は、第三世代セフェム系抗生物質に対する耐性が低下していたことから、これらのアミノ酸残基の重要性が示唆された。さらに精製酵素による活性測定を行い、k_<cat>、K_mを求め比較したところ、274位および276位がArgであることは、ペニシリン系および第一世代セフェム系抗生物質の分解には不利であるが、第三世代セフェム系抗生物質を分解するためにこれら残基は必須であり、その分解の際には両位の協同作用が重要であると考えられた。また、これらのArgが安定に存在するために、近傍に位置する244位はArgではなくThrであることが必要であろうと考えられた。
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