1995 Fiscal Year Annual Research Report
北方環境林の造成を目的とした植生による厳冬期環境指標の確立
Project/Area Number |
06454086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (70125318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 弘道 農林水産省, 森林総合研究所・東北支所・多雪地帯林業研究室, 室長
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (20187230)
藤原 滉一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (00001503)
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Keywords | 北方環境林 / 強風寒冷地 / 積雪状況 / 表土凍結 / 植物へのダメ-ジ / 植生の分布 / 厳冬期環境指標 |
Research Abstract |
平成7年度に実施した調査や観測の主な事項は次のようであり、計画した内容についてはほぼ完了することができた。1)広い範囲で出現しているササ群落の未成立地(草本群落の形成)と厳冬期環境との関連を調査するために、礼文島のシレトコ地区において新たな調査地を設設定した。2)新調査地における植生状況の調査と、既存調査地における植生群落の補足調査を実施した。また、3)これらの調査地において気象観測用機器の設定をおこない、積雪状況や土壌凍結状況・風向風速などの厳冬期環境の本格的な観測を実施した。4)厳冬期において、積雪状況や土壌凍結状況などについての現地調査を実施した。5)年間をとおしての、ササ群落がうけるダメ-ジと再生形態に関する観察をおこなった。6)強風寒冷地に成立している森林を対象に、成立と維持機構に関する調査および森林の造成法に関する調査を実施した。7)環境林造成の主要樹種であるヤチダモの雪害状況の調査をおこなった。 本年度の研究において明らかになった主な項目は以下のようである。1)広い広域で発生する「ササ群落の未成立地=裸地・草本群落」も厳冬期環境(とくに少積雪と表土凍結)に大きく影響されていることが明らかになった。また、2)夏期における強風や飛来塩分では、ササ群落はダメ-ジをうけないことが確かめられた。したがって、ササの葉や稈・根系へのダメ-ジおよび群落の形態は厳冬期環境との関連でみてさしつかえないことが、いっそう明らかになった。3)強風寒冷地に成立している針葉樹林は、逆U字型の「縞枯れ」状の破壊と更新を繰りかえし、維持されていることが確かめられた。また、4)ヤチダモの雪害発生状況の把握と雪害対策としての整枝剪定の効果が確かめられた。
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