1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助教授 (10165318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 謙二 東京大学, 農学部, 助手 (70242162)
井上 博明 東京大学, 農学部, 助手 (40223268)
松岡 数充 長崎大学, 教養部, 教授 (00047416)
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Keywords | 有害プランクトン / 渦鞭毛藻 / 有毒渦鞭毛藻 / Alexandrium / シスト / 麻痺性貝毒 |
Research Abstract |
平成6年8〜9月に静岡県浜名湖、和歌山県田辺湾、岩手県大船渡湾において、ピストン採泥器を用いて海底堆積物を柱状に採集した。採集した海底堆積物は表面から1または2cmごとに切り分け、層毎にAlexandrium属のシスト定量、年代分析、および堆積物圧縮率測定を行った。なお、過去に発生したAlexandrium属のプランクトンは田辺湾と大船渡湾において長期にわたって調査されていたので、シスト堆積状況との比較はこの両湾で行った。 田辺湾における最も古いAlexandriumの発生記録は1980年であった。海底堆積物の堆積速度0.96cm/yと堆積物圧縮率を考慮すると1980年以降の堆積物は深さ10cm以浅にあると考えられた。一方、Alexandrium属のシストは深さ30cmまですべての層で発見され、堆積量は深さ3〜4cmで175cysts/cm^3と最も大きく、深さ10cm迄はおおよそ50cysts/cm^3、それより深い層では3〜38cysts/cm^3であった。シストの発見された最も深い層は深さ28〜30cmであったが、その堆積期間は1945年前後と推定された。これらのことから田辺湾では初めてAlexandriumがプランクトンとして発見される1980年より35年前に既に発生していたことが分かった。 大船渡湾では1961年にAlexandriumによると思われる麻痺性貝毒事件が起こっており、その2年後にはプランクトンが確認されていた。海底堆積物の堆積速度0.23cm/yと堆積物圧縮率を考慮すると1960年以降の堆積物は深さ6cm以浅にあると考えられた。一方、Alexandrium属のシストは深さ14cmまですべての層で発見され、深さ2〜3cmで1620cysts/cm^3と最も大きく、それより深い層では15〜245cysts/cm^3であった。シストの発見された層のうち、最も深い層は深さ12〜14cmであったが、その堆積時期は1898〜1914年と推定された。このことから大船渡湾ではAlexandriumがプランクトンとして発見された1962年より60年以前から既に発生していたことが分かった。
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