1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454118
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 衆介 東北大学, 農学部, 助教授 (80136796)
|
Keywords | ウシ / 異常行動 / 常同行動 / 舌遊び行動 / 吸乳行動 / 粗飼料 / 個体差 |
Research Abstract |
人工哺乳で少なくなる吸引行動を助長する補助ニップルの有無、粗飼料細切の有無、および単飼・群飼の3要因計画で子牛を人工哺乳実験に供した。その結果、心理的攪乱状態が示す葛藤・異常行動である舌遊び関連行動、身繕い行動、模擬舌遊び行動および舌遊び行動が出現した。心理的攪乱程度の高いレベルに呼応する模擬舌遊び行動は、10日齢から出現し、離乳直後まで増加し、その後減少する傾向にあった。それに対し舌遊び行動は模擬舌遊び行動が低下し始める60日齢より出現し、継続するため模擬舌遊び行動の発展型とも考えられた。60日齢以降には摂食行動も急速に発達したため、その行動と舌遊び行動との関連が示唆された。要因としては単飼の効果が最も強かった。補助ニップルは吸引行動を助長はしたが、吸乳時間数と補助ニップル吸引時間数とを合計しても自然哺乳時間数までには達せず、吸乳時間の代用にはなり得ないものと考えられた。粗飼料細切の効果は認められなかった。要因であった単飼の効果には場所の効果も含まれており、処理間での行動の違いを検討した結果、単飼に伴う社会行動や探査行動の抑制のほか、哺乳時間数や粗飼料摂食時間数の多寡も含まれており、更なる検討が必要であると考えられ、来年度にそれらの要因を加え再度検討する計画とした。反応の品種間差は大きく、黒毛和種、F1、ホルスタイン種の順に葛藤・異常行動は激しかった。また同品種内でも行動の個体差は明確であった。葛藤・異常行動を高頻度で行う個体は、休息行動が少なく探査行動が多かった。高頻度牛ではアンドロジェンレベルが低頻度牛の2倍の高さであった予備調査の結果と考えあわせると、これらの個体の外部刺激に対して積極的・活動的に対応する戦略個体である可能性が示唆された。低刺激状態に対応し、様々な行動を試み、最終的に定型的な行動を発達させるのかもせず、これらの検証を今後行う予定である。
|