1994 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質ホルモン分泌の細胞内カルシウム貯蔵部位による制御機構
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06454121
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中里 幸和 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60001525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 利男 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20176895)
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Keywords | 細胞内カルシウム濃度 / シクロピアゾン酸 / Na-Ca交換 / モルモット / 副腎髄質細胞 / カテコールアミン放出 / カルシウムストア / カルシウムATPアーゼ |
Research Abstract |
1.潅流副腎を用いての実験:申請者らはこれまで、カフェインによるカテコールアミン放出は、細胞外のNaとCaイオンを除去すると著しく増大することを見いだし、その機序として細胞膜を介するNa-Ca交換機構の抑制を考えた。もしこれが正しければ、ムスカリン受容体刺激によるカテコールアミン放出にも同様の影響が予想されるので、先ずその確認実験を行った。細胞外Caを除去すると、ムスカリンによる放出は抑制されたが、同時にNaも除去したところ逆に著しく増大した。次ぎにCaとNaの除去下で見られたカフェインとムスカリンによる放出が、Ca-ATPase阻害薬であるタプシガルジンやシクロピアゾン酸でどのような影響を受けるかを検討した。その結果、リアノジンを用いた時と同様これら阻害薬は、カフェインによる放出を消失させたが、ムスカリン反応には殆ど影響を与えなかった。 2.分離細胞を用いての実験:Fura-2を負荷した単一副腎髄質細胞をムスカリンで刺激すると、細胞内Ca濃度([Ca]i)は素早い立ち上がりの初期相とそれに続く持続相からなる二相性の上昇を起こした。細胞外Caの除去下では持続相は消失し、初期相のみとなった。Ca不在下ではカフェインもムスカリンと類似の一過性の[Ca]i上昇を起こした。リアノジンとカフェインの同時適用は、その後に続くカフェイン反応を消失させたが、ムスカリン反応は殆ど影響を受けなかった。 以上の成績は、副腎髄質細胞内にはカテコールアミン放出に直接関与する、カフェインとムスカリン感受性Caストアが存在し、両者とも細胞外のNa濃度で制御されるが、前者はCa-ポンプの影響下にあるのに対して、後者にはこのポンプは関与していないことを示している。このNaイオンによる制御機構の実態はまだ明らかではないが、最も可能性の高い機序としてNa-Ca交換機構が考えられた。一方、逆に細胞内Caストア側から何等かの情報が発せられて、細胞膜を介するCaイオンの流出入を制御している可能性があるので、これに関しては平成7年度以降に探索を行う予定である。
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[Publications] 中里幸和: "副腎クロム親和性細胞からのホルモン分泌に関与する細胞内Caストアの性質" 秋山記念生命科学振興財団研究成果報告集. 6. 62-65 (1994)
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[Publications] Toshio Ohta: "Characterization of muscarine-induced Ca^<2+>-transient in chromafin cells of the guinea pig." Japanese Journal of Pharamcology. Suppl.I 64. 193 (1994)
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[Publications] Yoshikazu Nakazato: "Inhibitory effects of caffeine on secretagogue-induced catecholamine secretion from adrenal chromaffin cells of the guinea-pig." British Journal of Pharmacology. 111. 935-941 (1994)
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[Publications] Toshio Ohta: "All-or-nothing responses to carbachol in single intestinal smooth muscle cells of rat." British Journal of Pharamcology. 112. 972-976 (1994)
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[Publications] Junji Tsujimatsu: "Effects of Na^+ and Ca^<2+>-ATPase inhibitors on catecholamine secretion evoked by caffeine and muscarine in perfused adrenal glands of the guinea-pig." Japanese Journal of Pharamcology. Suppl.I 67. 160 (1995)
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[Publications] Ken-ichi Otsuguro: "ATP-evoked membrane current in guineaa pig adrenal chromaffin cells." Neuroscience Letters. 187. 1-4 (1995)