1995 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物の根粒形成関与遺伝子のトランスポゾンタギングによる分離
Project/Area Number |
06454135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳津 広志 東京大学, 農学部, 助教授 (70177301)
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Keywords | マメ科植物 / 窒素固定 / 根粒菌 / ジャケツイバラ / トランスポゾンタギング |
Research Abstract |
この研究では、マメ科植物の共生的窒素固定に係わる遺伝子群を植物と根粒菌(茎粒菌も含む)の双方で分離および構造解析を行い、最終的には非マメ科栽培植物に根粒形成能を付与し、窒素固定能を付けさせることが目的である。本年度はマネ科植物のタギングについて以下の実験を行うと同時にジャケツイバラ科の根粒形成能についても検討した。ミヤコグサおやよびアルファルファを用いてトランスポゾンタギングを行うため、ミヤコグサ(Gifu strain)およびアルファルファ(Medicago truncatula)を用いてトウモロコシのトランスポゾンの系(AcおよびDs)を導入することを試みた。ミヤコグサではDs導入株1株を得たが、形質転換される率は大変低いものであった。アルファルファでは昨年度行ったランジェランダーという品種では形質転換の効率は高かったが、M.truncatulaではさまざまな培地組成を検討したにもかかわらず形質転換株は得られていない。一般にマメ科植物は形質転換が困難であると言われている。アルファルファのランジェランダーは形質転換の容易なものとされているが、4倍体であるためタギングには使用できない。L.japonicusやM.truncatulaでタグングの系を作らなければならないが、より形質転換の容易な植物の検索も必要となろう。ジャケツイバラ科はほとんど種で根粒形成しないが、ごく一部の種で根粒形成が観察されている。ジャケツイバラ科の根粒形成の有無がどのように決定されるのかを解明することは、栽培作物に窒素固定力を付与するためのヒントを与える可能性がある。そこで、ジャケツシバラ科の根粒形成種カワラケツメイと非形成種エビスグサの性状を比較した。結果、非形成種では抗菌物質として機能するフラボノイド様化合物の分泌が形成種と比較して著しく多いことが分かった。そこで、エビスグサを大量の水耕液で栽培し、土壌を添加したところ根粒様構造が形成された。この根粒様構造よりmRNAを抽出し、RT-PCRをおこなっても初期ノジュリンの発現は見られなかった。いずれにせよ、ジャケツイバラ科の根粒非形成種も根粒形成能を有する可能性が示唆された。
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