1994 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンシグナル伝達の分子機構とその異常による糖尿病の解析
Project/Area Number |
06454178
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蛯名 洋介 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (00112227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 尚 徳島大学, 医学部, 助手 (40210009)
林 日出喜 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (10218589)
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Keywords | インスリン / グルコーストランスポーター / グルコース取り込み / シグナル伝達 |
Research Abstract |
インスリンによる標的細胞へのグルコース取り込み促進作用は特異性の高い、インスリン独特の作用である。この作用はグルコーストランスポーターと呼ばれる細胞膜を12回貫通する蛋白質により担われている。インスリンの標的細胞である脂肪細胞や筋肉細胞にはインスリン反応性グルコーストランスポーター(Glucose Transporter Type4;GLUT4)が多く存在し、主に細胞内膜分画に局在しており、インスリンの刺激で細胞膜に移行(トランスロケーション)することにより細胞のグルコース取り込みを促進する。 インスリン刺激によるGLUT4のトランスロケーションには PI3-キナーゼの活性化が重要であると我々は以前提唱した。しかしPI3-キナーゼの活性化はインスリン特有ではなく、EGF、PDGFなどの、他の細胞増殖因子刺激によっても活性化され、細胞増殖のシグナルを伝達することが既に報告されている。したがってインスリンにより活性化されたPI3-キナーゼがGLUT4のトランスロケーションを引き起こすのかどうか慎重に検討する必要があった。そこで、我々の細胞系に、EGF受容体を強制発現させた細胞株を用いて、その検討をおこなった。その結果、EGF刺激により、PI3-キナーゼの活性化と同時にGLUT4mycのトランスロケーションおよびグルコース取り込み促進が見られた。またこのトランスロケーションはPI3-キナーゼの阻害剤であるwortmanninの前処理により著名に抑制された。このことから、GLUT4のトランスロケーションは従来から予想されていたようなインスリン独特のものではなく、やはりEGFのようなPI3-キナーゼを活性化する細胞増殖因子もその潜在能力を有しており、PI3-キナーゼが重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kamohara,S.,Ebina,Y.et al.: "Platelet-derived growth factor triggers translocation of the insulin-regulatable glucose transporter(GLUT4)predominantly through PI 3-kinase binding sites on the recepter" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (in press).
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[Publications] Ishii,K.,Ebina,Y.et al.: "Epidermal growth factor triggers the translocation of insulin-responsive glucose transporter(GLUT4)" Biochem.Biophys.Res.Commun.205. 857-863 (1994)
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[Publications] Todaka,M.,Ebina,Y.et al.: "The role of insulin in activation of two enhancers in the mouse GLUT1 gene" J.Biol.Chem.269. 29265-29270 (1994)
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[Publications] Nishiyama,T.,Ebina,Y.et al.: "Expression of the gene encoding the tyrosine kinase-deficient human insulin receptor in transgenic mice" Gene. 141. 187-192 (1994)