1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454205
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Research Institution | International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
竹田 美文 国立国際医療センター, 研究所, 所長 (30029772)
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Keywords | コレラ毒素 / ZOT / 下痢原因毒素 |
Research Abstract |
コレラは、コレラ菌(Vibrio cholerae)の産生するコレラ毒素(CT)が原因で起こり、その本体はCTのAサブユニットに起因するadenylate cyclaseの活性化であると考えられてきた。多くの研究者がこの作業仮説にもとづいて、Aサブユニットをcodeする遺伝子の一部分を削除したり、変異させたクローン株を作製し、経口生菌ワクチンの開発を試みてきた。しかし、ボランティアを使った経口投与実験では、半数以上が無毒化したCTを産生するコレラ生菌で軽度から中程度の下痢を起こした。このことから、コレラ菌はCT以外にも下痢原因物質を産生しており、この物質の解析がコレラ菌による下痢発症機作の解明と安全な経口生菌ワクチンの開発に必須であることがわかった。 本研究では、まずインドとわが国で分離された801株のコレラ菌に対して、ZOT遺伝子に特異的なDNAプローブを用い、コロニーハイブリダイゼーションテストを行い、ZOT遺伝子の分布を調べた。その結果、生物型・血清型及び分離由来に関係なくCT遺伝子を持つ菌株はすべてZOT遺伝子を持っていた。更に、CT遺伝子を持たないが、ZOT遺伝子のみを持つ株は、患者由来が1株、環境由来が36株存在した。また、CT遺伝子のみを持つ株は存在しなかった。この結果から、ZOT遺伝子はCT遺伝子の上流に近接し、その遺伝子間は108bpしか離れていないことも考慮すると、ZOTとCTは独立した下痢原因毒素として作用しているのではなく、下痢発症において協働作用をしている可能性が高い。更に、1株ではあるが、ZOT遺伝子のみを持つ菌株が患者から分離されていることは、ZOTが単独でも下痢原因毒素である可能性を示唆している。 次に我々はpUC119にクローン化したZOT遺伝子をIPTGで誘導してZOTを大量に合成させ、これを出発材料にして精製を行おうとしたところ、菌は増殖しなかった。この理由としては、1992年にKooninが発表している仮説が挙げられる。彼は、ZOTがバクテリオファージの再構成と菌体からの放出に関与するGpIに類似していると指摘した。CpIがバクテリオファージの再構成と菌体から放出の際にエネルギーを供給している事や、ATPase活性によりエネルギーを供給していると考えられる事から、ZOTがCTの細胞質内での再構成やperiplasmic spaceへの移動に関与している膜蛋白である可能性を彼は考察した。即ち、膜蛋白を大腸菌で強力に発現させた場合、菌が、増殖できないのである。そこで、その核酸配列から膜貫通部位と考えられるアミノ末端1/3を削除した620bpのDNA断片をPCR法を用いて作製し、発現ベクター、pGEX-21、にクローニングした。このクローンはIPTGによる誘導でも大腸菌を殺さないので、これを大量培養し、Glutathione Sepharose 4Bカラムによりaffinity culumn chromatographyを行い、ZOTの5'側の親水性領域を精製した。この標品で家兎を免疫し、タイタ-はオクタロニ-テストで8倍と低いが、ZOT家兎血清が取れた。この血清を用い、ZOT-specific bead-ELISAを構築した。現在、この検出系を用いて、野生株あるいは、Bacillas brevisをホストにした発現システムを使い、ZOTの精製を行っている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Takeda: "A simple method of purification of Escherichia cole beatlabile enterotoxin and chslere to xin using an immobiliged..." Microbial Pathogenesis. 16. 71-76 (1994)
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[Publications] Y.Takeda: "Specific detection of a Verotoxin 2 mutant,VT2vp1,by a bead-anzyme-linked immunosorbent assay" Microbiol.Immunol.38. 435-440 (1994)
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[Publications] Y.Takeda: "Construction of mutant genes for a non-toyic Verotoxin 2 varsant (VT2vp1) of Eschenichia coli and.." Microbiol.Immunol.38. 441-447 (1994)
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[Publications] Y.Takeda: "Distribution of genes encoding chclera toxin,zonula occludens toxin,accessory chslera toxin,and.." Microbial Pathoyenesis. 18(in press). (1995)
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[Publications] Y.Takeda: "Distribution of the cytolethal distending toxin A gene (catA) awong species of serigella and vibrio..." Microbial Pathogenesis. 18(in press). (1995)