1995 Fiscal Year Annual Research Report
ビブリオ由来のPore forming toxinの作用機構と病原性における役割
Project/Area Number |
06454206
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝 孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40112156)
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Keywords | 病原ビブリオ / 溶血毒素 / 浸透圧溶血 / PCR / Vibrio mimicus / Vibrio vulnificus |
Research Abstract |
ビブリオ属菌は自然環境水を棲息域とする細菌でコレラ菌や腸炎ビブリオなど多く病原種が含まれており,近年はVibrio vulnificuによる致命的な敗血症なども例数は少ないものの,注目されるようになってきた。多くの病原性ビブリオは病原因子として溶血毒を産生するが,その作用機構の解明が発症機構の解明さらには予防・治療の開発につながるものと思われる。本研究ではV.vulnificusとV.mimicusの溶血毒(VVH,VMH)を選んでin vitroでの溶血機構を詳細に比較検討した。VVHとVMHはともに赤血球膜に結合して小孔を開け,低分子の移動により膜内外の浸透圧差を生じさせて溶血を起こす,いわゆるコロイド浸透圧溶血を示すことをすでに報告している。しかし,膜上の標的分子や結合の温度依存性などの相違があることを見出だした。また,病原性発現における役割についても相違がみられ,VMHをウサギ結紮腸管に投与すると液体貯留が見られ,生菌の液体貯留を抗VMHが抑制することから,下痢因子として働くことを明らかにした。本研究の初年度の平成6年度には毒素の物理化学的性状並びに作用機構,PCRによるVVHの検出に関する研究で成果を収めてきたが,平成7年度には両毒素の作用機構に関する研究で大きな進展を見た。6年度において,VMHの膜への結合があたかも可逆的であるかのごとき結果を得ていたが,これはVMHの結合が極めて遅く進行するために見られた現象であり,一方,VVHはコレステロールへの結合が極めて速やかであった。さらに,VMHと同様ガングリオシドを標的とする腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒についてもVMHと同様な現象がみられ,標的分子の性状による結合性の差がその相違となってあらわれたことが示唆された。また,動物種により感受性に差があるが、VMHの膜との親和性等には差がなく、主として結合部位の数の差によることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Munirul Alam et al.: "Production of Antigenically Related Exocellular Elastolytic Proteases Mediating Hemagglutination by Vibrios" Microbiology and Immunology. 39. 67-70 (1995)
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[Publications] Yasuhiro Shimonaka et al.: "Changes in the Shape of Escherichia coli and Human Erythrocytes induced by Antimicrobial Peptides : Polymyxin B,EM 49,Gramicidin S and Tachyplesin" Peptide Chemistry 1994. 69-72 (1994)