1994 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-DR結合性ペプチドモチーフを応用したT細胞エピトープの同定
Project/Area Number |
06454222
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西村 泰治 熊本大学, 医学部, 教授 (10156119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 祥 熊本大学, 医学部, 助教授 (50167649)
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Keywords | HLAクラスII分子 / 抗原ペプチド / 抗原提示 / 疾病感受性 / 自己免疫疾患 / 自己反応性T細胞 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)に感受性を示すDRB1^*0405と感受性を示さないDRB1^*0406とは、DRβ鎖上のアミノ酸残基が4箇所で異なるのみである。去年の研究成果により、これらの2種類のDR分子に結合するペプチドは9個以上のアミノ酸により構成され、このうち2個および1個のアミノ酸を介在して位置する3個のアミノ酸(DR結合モチーフ)が、DR分子への結合に重要であることが明らかとなった。さらにこの3箇所に特定の数種類のアミノ酸が存在するとDR分子への結合が認められ、上記の2種類のDR分子では、DR結合モチーフは非常に類似していたが、微妙な違いが存在した。そこでRAにおける自己免疫現象の標的自己抗原の候補の一つと考えられるヒトII型コラーゲン分子のアミノ酸配列を調べDRB1^*0405結合モチーフを有するペプチドを合成した。これらのペプチドの中からDRB1^*0405分子へ結合するものを3種類同定したが、いずれもDRB1^*0406分子にも同様の親和性で結合した。このようにDRB1^*0405分子に結合するペプチドの種類があまりにも少なかったために、DRB1^*0405遺伝子と常に連鎖して存在するDQA1^*0301-DQB1^*0401遺伝子によりコードされるDQ4分子が自己抗原ペプチドをT細胞に提示している可能性も検討することにした。そこでDQ4分子に結合するペプチドの構造モチーフを明らかにすべくファージペプチドライブラリーを用いてDQ4結合性ペプチド約100種類を同定した。これらをアミノ酸配列の類似性よりグループ分けし各グループより代表的なペプチドを合成し、標識した後にDQ4分子への係合性を確認した。さらにこれらの中から9個のアミノ酸からなるペプチド1種を選び出し、各アミノ酸残基を1個だけ置換したペプチドのDQ4分子への結合性を調べた。このようにして、N末端より第1および第9番目のアミノ酸残基がDQ4分子への結合に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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[Publications] Matsushita,S.: "Allele specificity of structural requirement for peptides bound to HLA-DRB1^*0405 and DRB1^*0406 complexes" J.Exp.Med.180. 873-883 (1994)
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[Publications] Hashimoto,H.: "HLA antigens in Japanese Patients with systemic lupus erythematosus." Scard.J.Rheumatology. 23. 191-196 (1994)
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[Publications] Esaki,Y.: "Role of human major,histocompatibility complex DQ molecules in superantigenicity of streptococcus-derived protein." Infection and Immunity. 62. 1228-1235 (1994)
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[Publications] Matsushita,S.: "Identification of a T cell membrane protein possibly involved in IL-4-induced B cell immunoglobulin class switching to IgE." Cell.Immunol.153. 378-391 (1994)
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[Publications] 西村泰浩: "MHCクラスII分子の構造と抗原ペプチドの提示" 実験医学. 12. 25-34 (1994)
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[Publications] 西村泰浩: "MHC分子およびMHC結合性ペプチドの構造と機能" 実験医学. 12. 86-96 (1994)
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[Publications] 西村泰浩: "慢性関節リウマチ治療の新たなアプローチ" 先端医学社, 16 (1994)
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[Publications] 五十川修司: "アレルギー炎症性疾患・新たなアプローチ" 先端医学社, 10 (1994)