1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤による潜在的な神経・精神・行動障害に関する予防医学的研究
Project/Area Number |
06454240
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三宅 浩次 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 博之 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80106476)
池田 聡子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045410)
岸 玲子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80112449)
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Keywords | 有機溶剤 / 神経行動毒性 / 色覚 / 運動(感覚)神経伝導速度 / スチレン / トルエン / 混合溶剤 / 尿中代謝物 |
Research Abstract |
トルエンを主とした混合溶剤、スチレン暴露の労働者を対象に色覚、振動覚、末梢神経伝導速度の計測を行った。色覚、振動覚、末梢神経伝導速度ともに現行の許容濃度より低い濃度でも暴露労働者に影響があらわれることが示唆された。また同時に現場で、労働者の神経障害の影響を検出する際に交絡要因となる様々な要因について疫学的に検討したところ、年齢のほか、皮膚温度、体格などいくつかの要因が交絡要因として無視できないことがわかった。 本邦で初めて有機溶剤作業従事者の色覚を測定し同時に尿中代謝物測定を行い暴露との関連を検討したので結果を示す。対照として、性、年齢をマッチした非有機溶剤暴露者の測定も行った。先天性色覚異常、糖尿病、視力が0.6以下の者は対象に含めなかった。色覚の測定はthe Lanthony desaturated panel D-15 testを使用し、片眼づつ検査した。検査の定量的評価にはBowmanの提唱したColor Confusion Indexを用いた。質問紙に基づき既往歴、職業歴、暴露溶剤の種類、暴露期間、飲酒、喫煙、教育年数などを調査した。暴露はほとんどが現在の許容濃度以下であった。スチレン暴露作業者の色識別能は、対照に比べて有意に低下していた。また、尿中代謝物と色覚の間には有意の関連がみられ許容濃度より低いレベル(30ppm以上)でも色覚に影響が出ることがわかった。色覚異常は後天性黄緑の分別能の低下として現れ、多変量解析で年齢を調整しても有機溶剤の影響が独立の障害要因であった。色覚異常発現の機序、他の神経機能への影響について引き続き検討している。
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[Publications] Kishi R,Chen BQ,Katakura Y,Ikeda T,and Miyake H.: "Effects of prenatal exposure to styrene on the neurobehavioral development,activity,motor coordination and learning behavior of rats" Neurotoxicology and Teratology.
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[Publications] Moon,C.-S.Yasugi T.Kawai T.Mizumuma K,Kishi R,: "Biological Monitoring and health effectsof occupational vapor exposure to styrene." Abstract of 14th International Conference on Occupational Health 15-17 Octobrt,Beijing,China,. (1994)
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[Publications] Yasugi T,Kawai T,Mizunuma K,Kishi R,Harabuchi I,Yuasa J,: "Exposure monitoring and health effect studies of workers occupationally exposed to cyclohexane vapor" Int Arch Occup Envirin Health. 65. 343-350 (1994)
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[Publications] 原渕 泉、岸 玲子、横山 博、影山 正晴、三宅 浩次: "現場の有機溶剤検診における中枢神経機能の定量的評価に関する研究---尿中代謝物濃度との関連" 産業医学ジャーナル. 17. 68-75 (1994)
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[Publications] 江口 照子、岸 玲子、原渕 泉、湯浅 潤子、荒田 吉彦、片倉 洋子: "スチレン暴露労働者の色覚" 産業医学. 36. 104-105 (1994)
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[Publications] Kishi R,Harabuchi I,Katakura Y,Ikeda T.: "Neurobehavioral effects of chronic occupational exposure to organic solvents among Japanese industrial painters." Environ Res.62. 303-313 (1993)