1995 Fiscal Year Annual Research Report
モチライドの臨床応用を目指したヒト胃におけるモチリン受容体の検討
Project/Area Number |
06454256
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 漸 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00008294)
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Keywords | モチリン / モチリン受容体 / エリスロマイシン誘導体 / 消化管平滑筋 / オートラジオグラフィー / 単離平滑筋細胞 / 受容体結合実験 / 平滑筋収縮 |
Research Abstract |
ヒト胃前庭部(モチリンの生理的作用点と考えられる)において、エリスロマイシン誘導体(モチライド)の一つであるEM574のin vitroにおける特徴をモチリンと比較検討することで評価した。 (1)筋条片収縮実験:胃前庭部平滑筋層より作製した筋条片に対し、EM574はモチリンと同様に用量依存性の収縮反応を惹起し、これらの収縮はアトロピン及びTTX抵抗性であり筋直接作用が示唆された。 (2)単離平滑筋細胞収縮実験:コラゲネース処理により単離した平滑筋細胞は、EM574およびモチリンにより用量依存性に収縮し、用量反応曲線はほぼ同等であった。 (3)ラジオレセプターアッセイ:^<125>I標識モチリンを用いて、胃平滑筋のホモジネートにおける結合実験を行った結果、EM574は特異的に^<125>I標識モチリンのホモジネートへの結合を阻害し、その阻害効果はモチリンに近似したものであった。 (4)オートラジオグラフィー:ヒト胃前庭部の凍結切片によるオートラジオグラフィーを行った結果、平滑筋層にのみ^<125>I標識モチリンの特異的結合が認められ、これはモチリン同様EM574によっても置換された。このことからモチライドもモチリン同様、平滑筋上のモチリン受容体に結合して作用することが示唆された。また、縦走筋に比べ輪状筋の方が受容体の密度が高い傾向がみられた。 モチリン受容体の分離精製・構造決定(架橋実験):ヒト胃平滑筋の細胞膜画分への^<125>I標識モチリンの結合が認められなかったため、ラジオレセプターアッセイ同様、平滑筋ホネジネートを用い^<125>I標識モチリンを反応させた後、架橋・可溶化し、SDSゲル電気泳動・オートラジオグラフィーを行った結果、モチリンで特異的に結合阻害される分子量の異なる3つのバンドが得られた。その後ゲル濾過により単一のピークが得られ、現在タンパクの精製を行っている。
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[Publications] 佐藤稔等: "EM574, an erythromycin derivative is a potent motilin receptor agonist in human gastric antrum." J. Pharmacol. Exp. Ther.271. 574-579 (1994)
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[Publications] 坂井貴文等: "Biotynyl C-terminal-extended motilin as a biologically active receptor probe." Peptides. 15. 257-262 (1994)
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[Publications] 坂井貴文等: "Autoradiographic study of motilin binding sites in the rabbit gastrointestinal tract." Regul. Pept.53. 249-257 (1994)