1994 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーオキシド、低分子モノオキシドによる肝微小循環-毛細胆管連関調節機構の解析
Project/Area Number |
06454264
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00206385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 勲史 東海大学, 医学部, 助教授 (90167156)
石村 巽 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40025599)
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Keywords | 一酸化炭素 / heme oxygenase / 一酸化窒素ラジカル / cGMP / 伊東細胞 / 肝類洞循環 |
Research Abstract |
本年度の最も大きな実績は低圧灌流系である肝微小循環系の内因性弛緩物質としてのheme oxygenase(HO)由来の一酸化炭素(CO)の生理的意義が確立されたことにある。HO由来のCO生成が微小血管トーヌスの調節に関与している可能性を検証する目的で、申請者らは構成型酵素であるHO-2活性の豊富な肝の分離灌流系を用いその類洞循環を独自に開発したFITC標識アルブミン注入法(480-530nm)によるintravital digital microfluorographyを用いて観察した。この際血管平滑筋のない類洞血管の収縮メカニズムを探るため、肝特異的な血管周皮細胞と考えられている伊東細胞の生体観察が必要となった。伊東細胞は肝臓の約85%のVitamin Aを貯蔵していることが知られている。したがってその微弱な自家蛍光(360-450nm)を利用し高感度撮像管でイメージングすることにより伊東細胞の肝小葉内分布を生体内で識別可能であることを明らかにした。ここに初めて、励起フィルターの切り替えにより同一視野の微小血管での収縮部位と伊東細胞の位置関係を経時的に解析することが可能となった。2波長蛍光をデジタル画像として生体内解析できる本法は、平滑筋のない微小血管反応における血管周皮細胞の役割を議論できる初めての実験系となった。正常灌流肝では肝静脈のeffluent中にsubmillimolarレベルのCOが検出可能であり、HOの拮抗的阻害薬であるzinc protoporphyrin IX(ZnPP,1μM)を灌流液中に添加すると検出できなくなる。この時灌流圧は持続的に上昇し血管抵抗は約30%増加する。ここに1-2μM程度のCOや膜透過性のcGMP(8Br-cGMP)を含む灌流液を加えると灌流圧は可逆的に下降した(文献1)。ZnPPによる血管抵抗上昇の責任部位を明らかにするため肝微小血管のdigital microfluorographyを施行したところ、ZnPP投与後10分で類洞に不連続性収縮が現れ、局所の灌流速度が一過性に上昇した後経時的に低下した。興味深いことに類洞収縮部位はVitamin A自家蛍光で認識できる伊東細胞の局在に一致し、本細胞が構成型HO由来のCOを介した類洞血管トーヌスの調節に関与することが示唆された(文献2)。ZnPPで惹起される昇圧反応はendothelin receptor antagonistやα1-antagonistでは抑制できないことから、従来考えられてきた脈管収縮機序を介した間接作用とは考えられない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suematsu,M.,et al.: "Carbon monoxide as an endogenous modulator of hepatic vascular perfusion." Biochem.Biophys.Res.Commun.205(2). 1333-1337 (1994)
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[Publications] Suematsu,M.,et al.: "Carbon monoxide:An endogenous modulator of hepatic sinusoidal perfusion." Gastroenterology. (in press,). (1995)