1994 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の分化と機能発現の分子機構解析による免疫異常症の発症機序解析
Project/Area Number |
06454296
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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Keywords | 重症複合免疫不全症 / IL-2レセプターγ鎖 / 免疫グロブリン遺伝子 / B細胞 / マスト細胞 / Fcεレセプター / IL-4 |
Research Abstract |
先天性免疫不全症の一病型である重症複合免疫不全症のうちX染色体性遺伝のものはインターロイキン(IL)-2レセプターγ鎖の遺伝子異常が成因であることが明らかにされている。このγ鎖はIL-4,IL-7,IL-15のレセプターにも共通に使用されている。本症ではT細胞の発生障害があり、B細胞は存在するがIgG、IgAを産生しえないという異常がある。すでに免疫グロブリン(Ig)可変領域の遺伝子について、再編成が未熟型にとどまっていること、成熟記憶B細胞では生じるべき突然変異がおきていないことを証明し、Ig遺伝子からみてもB細胞が未成熟な段階にとどまっていることを示したが、それがT細胞欠損による2次的なものかB細胞自身の欠陥によるのか不明であった。そこで、骨髄移植によりT細胞系が健康人由来のもので再建されたが、B細胞は相変わらず患者由来のものであるといったキメラ状態になった症例について検討を行った。正常なT細胞が存在するにもかかわらず、Ig可変領域遺伝子は移植前と同じ状態にとどまっていた。このことは本疾患ではB細胞自身にも欠陥が存在することを示しており、IL-2レセプターγ鎖がB細胞の成熟にとっても必須であることを示唆する貴重な所見である。 マスト細胞がCD40リガンドを表出し、IL-4を産生してB細胞のIgE産生を誘導するか否かを検討するにあたって、マスト細胞の培養株が存在すると実験が容易になる。ヒト臍帯血細胞を培養することによってそのような細胞がえられたが、IgEのFc部に対するレセプターを表出しておらず、IgEと抗原との反応によるマスト細胞の活性化という生理的なマスト細胞の活性化を再現できなかった。しかし、この培養細胞にIL-4を加えるとそのレセプターの発現を誘導できることを発見した。このことにより今後この面での研究が一層進められやすくなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hagasawa,M.,Maeda,H.,Okawa,H.and Yata,J.: "Pulmonary miliary tuberculosis and T cell abnormalities in a severe combined immunodeficiency patient reconstituted with haploidentical bone marrow transplantation." International Journal of Hematology. 59. 303-309 (1993)
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[Publications] Hagasawa,M.,Morio,T.,Takagi,S.and Yata,J.: "Differences of LAK-activity and IL-2 responsiveness betwenn α/β and ζδ T cells which developed after thymus transplantation." Acta Paediatrica Japonica. 36. 396-403 (1994)
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[Publications] Hagasawa,M.,Okawa,H.and Yata,J.: "Deletorious effect of high dose γ-globulin therapy on patients with hemophagocytic syndrome." International Journal of Hematology. 60. 91-93 (1994)
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[Publications] Minegishi,Y.,Okawa,H.Sugamura,K.and Yata,J.: "Preferential utilization of the immature JH segment and absence of somatic mutation in the CDR3 junction of the IgH chain gene in three X-linked severe combined immunodeficiency patients." International Immunology. 6. 1709-1715 (1994)