1996 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の分化と機能発現の分子機構解析による免疫異常症の発生機序解析
Project/Area Number |
06454296
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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Keywords | 重症複合免疫不全症 / 高IgM症候群 / Wiskott-Aldrich症候群 / 責任遺伝子 / WASP / マスト細胞 / 接着分子 / FcεレセプターI |
Research Abstract |
高IgM症候群の伴性遺伝形式の病型はB細胞の免疫グロブリンスイッチを誘導するCD40分子に刺激を与えるべきCD40リガンド(CD154分子)の遺伝子異常による。本邦症例13例の検討を行ったが、従来までに知られていない遺伝子異常を示すものがいくつか発見された。中でも1つの遺伝子異常により2つの異なったmRNAが生成されているものがあり、本症では初めてのものである。遺伝子異常の種類と臨床像との相関を求める上での情報を累積することができた。Wiskott-Aldrich症候群はX染色体上のWASP遺伝子の異常によるが本邦症例8例について検討したところ3例で従来知られていない遺伝子異常がみられた。large exon sippingの症例は臨床的にも重症であった。血小板減少症のみを示す軽症例では遺伝子異常は軽微なものであった。WASP分子の機能は未だ不明であるので、患者でみられたのと同様の遺伝子異常を示す遺伝子をトランスフェクトして検討したところ活性化された細胞でみられるアクチンの集合が、WASPに欠陥があると十分になることを発見した。細胞の形態変化にWASPが重要な働きをしていることが示唆された。即時型アレルギーはマウト細胞上に結合しているIgE抗体と抗原との反応によって誘導されるが、IgEの結合に関与するマスト細胞上のFcεレセプターIについて培養株化マスト細胞を用いて調べたところ、FcεレセプターIの表出がIL-4によって増強されることを発見した。これは遺伝子の転写促進によるものであることを明らかにした。また、マスト細胞はIL-4の作用により互いに接着するという現象も発見した。これは接着分子LFA-1/ICAM-1依存性であった。IL-4によるマスト細胞機能発現の他の側面を明らかにしたといえる。Fcεレセプターを十分に発現しているマスト細胞培養株を入手する方法が確立されたことは、アレルギーの機序解析に有力な手段を与えるものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawabata,K.,Nagasawa,M.Morio,T.,Okawa,H.& Yata,J.: "Decreased α/β heterodimer among CD8 molecules of peripheral blood T cells in Wiskott-Aldrich syndrome." Clinical Immunology and Immunopathology. 82・2. 129-135 (1996)
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[Publications] Toru,H.,Ra,S.,Nonoyama,S.,Suzuki,K.,Yata,J.,Nakahata,T.: "Induction of the high affinity IgE receptor on human mast cells by IL-4." International Immunology. 8・9. 1367-1373 (1996)
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[Publications] Minegishi,Y.,Akagi,K.,Nishioka,K.,Okawa,H.& Yata,J.: "Analysis of the CDR3 region of the rearranged IgH chain genes in patients with severe combined immunodeficiency and severe lymphopenia." Journal of Immunology. 156・12. 4666-4671 (1996)