1994 Fiscal Year Annual Research Report
胎児不整脈の実験的研究:羊胎仔を用いた上室性頻拍の病態生理学的・臨床薬理学的検討
Project/Area Number |
06454306
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 正義 東京大学, 医学部(病), 教授 (90049031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 裕比湖 自治医科大学, 医学部, 講師 (40187521)
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Keywords | 胎児 / 不整脈 / 頻脈 / 心房粗動 / 心拍出量 / 心不全 / 胎児水腫 / ペースメーカー |
Research Abstract |
(目的)胎児頻脈性不整脈は、胎内で心不全を来すため治療が必要である。しかし、心不全に陥る心拍数など不明な点が多く、胎児であるため血行動態の評価が不十分である。そこで、羊胎仔を用いて、心房高頻度刺激によって、心房粗動と類似したモデルを作製し、血行動態を評価した。 (方法)妊娠羊7頭を用い、硬膜外麻酔とケタラールによる全身麻酔下に、母体の腹壁、子宮を切開した。胎仔を露出し、右第3肋間を切開し、胎仔心臓の右心房を確認し、Medtronic社製ペーシングリードを右心房に縫着した。Philips TP300体外式ペースメーカーを用いて、1)自己リズム、2)200/分、3)300/分、4)350/分、5)400/分で心房ペーシングを行い、エコードップラー法を用いた大動脈の血流速および直径の計測から右室および左室の心拍出量を測定し、ポリグラフを用いた大動脈圧、中心静脈圧の測定を行った。 (成績)心房ペーシングにより右室心拍出量は585±109ml/min/kgから277±61ml/min/kgに減少した。左室心拍出量は267±161ml/min/kgから262±82ml/min/kgと不変であった。 大動脈圧は42±5.7mmHgから27±11.4mmHgに漸減し、中心静脈圧は3.6±3.6mmHgから5.8±3.2mmHgに増加した。 (結論)1)ペーシングレートを増加させると右室心拍出量は低下し、頻脈発作時には、比較的低いレート(200/分)でも、不利な血行動態を示していた。2)左室心拍出量は、ペーシング下でも余り変化しなかった。3)ペーシングレートを300/分以上にすると、体血圧の低下、中心静脈圧の上昇を来たし、循環動態に破綻を来たしていると考えられた。
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