1994 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の認知障害指標の治療による変化についての総合的研究
Project/Area Number |
06454332
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丹羽 真一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30110703)
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Keywords | 精神分裂病 / 情報処理障害 / 思考障害 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、精神分裂病における精神症状、生化学的異常、認知機能障害について総合的研究を行うことにある。これまでに、分裂病のリハビリテーションの効果に関係があると考えられる情報処理障害(注意維持障害・処理容量低下)と、精神症状との関連を検討したので報告する。 対象及び方法:分裂病患者52名(男性33名、女性19名)、正常対照者41名(男性21名、女性20名)で、分裂病患者の平均年齢は41.2歳(SD=8.4)、平均教育歴は11.6年(SD=1.9)、正常対照者の平均年齢は40.7歳(SD=9.5)、平均教育歴は1.6年(SD=2.3)で、年齢と教育歴で両群に差はなかった。対象者に、注意維持を測定するContinuous Performance Test(CPT)と、処理容量を測定するSpan of Apprehension Test(SOA)を施行した。また、Global Assessment Scale(GAS)で全般的精神機能を評価し、Beck版Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)で臨床症状を評価した。 結果及び考察:分裂病群において、CPTでの成績低下とSOAでの成績低下を認めた。また分裂病群の検討では、CPTの成績及びSOAの成績は、GAS得点と正の相関を示し、BPRSの思考解体得点と負の相関を示し、言語性記憶と負の相関を示した。以上のことから、分裂病患者において注意維持障害と処理容量低下の存在が示唆された。また、こららの情報処理障害が思考解体を引き起こす可能性が考えられた。来年度は、情報処理障害だけでなく、生化学的検査結果、事象関連電位の所見なども合わせて検討する予定である。また、横断的側面だけでなく、治療前後での縦断的な変化についても報告する予定である。
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