1995 Fiscal Year Annual Research Report
組換えワクシニアウイルスによるHTLV-I感染の予防
Project/Area Number |
06454347
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
三好 勇夫 高知医科大学, 医学部, 教授 (30033088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 哲也 高知医科大学, 医学部, 助手 (30274377)
田中 優治 高知医科大学, 医学部, 助手 (40243828)
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Keywords | HTLV-I / 免疫グロブリン / 受動免疫 |
Research Abstract |
平成6年度では組換えワクシニアウイルスがHTLV-Iの輸血感染を予防するか否か検討したが、期待した通りのワクチン効果はみられなかった。その理由として組換えワクシニアウイルスが中和抗体を誘導しなかったことが主な要因と考えられた。そこで、平成7年度では高力価の中和抗体を有するHTLV-I免疫グロブリン製剤(H-IgG)がHTLV-Iの感染を予防するか否かサルを用いて検討した。 HTLV-I抗体陽性健康人pool血漿から50mg/mlのIgGを含有するH-IgGをミドリ十字中央研究所で精製した。HTLV-Iの外膜を被ったvesicular stomatitis virus (VSV) pseudotype assayによるH-IgGの中和抗体価は7,100倍であった。日本モンキーセンターから購入した6匹の日本猿(Mf1,Mf2,Mf3,Mf4,Mf5,Mf6)を用いた。Mf1,Mf2には対照としてHTLV-I抗体陰性健康人pool血漿から同様に精製したN-IgGを2ml/kg静注し、その直後に8x10^6/kgのRa-1細胞(HTLV-I産生細胞株)を静注した。Mf3,Mf4,Mf6にはH-IgGをそれぞれ2m/kg,1ml/kg,0.5ml/kg静注し、その直後に同数のRa-1細胞を静注した。Mf5には同数のRa-1細胞を静注し、その24時間後に1ml/kgのH-IgGを静注した。Mf1,Mf2では2-4週後にHTLV-I抗体が陽転した。Mf3,Mf4,Mf5,Mf6では静注したヒトのHTLV-I抗体が約2週間の半減期で血中から消失した。免疫後12,14週後に末梢血単核球DNAにつきHTLV-IのpX領域のプライマーを用いてPCRを行ったところ、pX遺伝子がMf1,Mf2から繰り返し検出されたが、Mf3,Mf4,Mf5,Mf6からは全く検出されなかった。 本研究において霊長類である日本猿でもH-IgGによりHTLV-I感染が予防できることが明らかになった。感染予防に必要な最低のH-IgG量は0.5ml/kgで、この量をサルに静注した直後の血清の中和抗体価は60倍であった。HTLV-Iの母児感染の予防や臓器移植や針刺し事故に伴うHTLV-I感染の予防にH-IgG臨床応用可能と思われる。
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Research Products
(1 results)