1995 Fiscal Year Annual Research Report
バイオセンサ表面におけるタンパク吸着の制御と実時間観察に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06454360
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎮西 恒雄 東京大学, 医学部(医), 助手 (20197643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
井街 宏 東京大学, 医学部, 教授 (10010076)
藤正 巌 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
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Keywords | 表面プラズモン顕微鏡 / 生体適合性材料 / タンパク吸着 / バイオセンサー |
Research Abstract |
ポリウレタンの表面に吸着するアルブミンの厚みと印加電位との関係を調べた。10%PBSからアルブミン溶液への置換では、ポリウレタンがコーティングされている電極を正電圧として、電極間に300mV-1000mVの電圧を印加した状態で、アルブミン吸着が著明に抑制された。300mV以下の正電圧では、吸着量の時間変化の立ち上がりがやや遅れた。0Vあるいは、負電圧を印加した状態では、吸着の抑制は見られず、また電圧による吸着量の立ち上がりの変化は見られなかった。この結果はポリウレタン表面へのアルブミンの吸着は、初期に直流電圧を印加することで制御できる可能性を示唆している。しかし、一旦ポリウレタン表面にアルブミンが吸着してしまうと、直流電圧を印加することでは吸着したアルブミンを完全に除去することはできないことも示している。 金薄膜へのガンマグロブリンの吸着についても検討を行った。その結果、金へガンマグロブリンの吸着は、直流印加電圧によってほとんど影響を受けなかった。また、交流電界を印加した実験では、1Vppの交流印加電圧でも同様にガンマグロブリンの吸着に影響を及ぼさなかった。また印加電圧を2Vppまで増加しても、ガンマグロブリンの吸着を減少させることはできなかった。2Vpp以上の印加電圧は電気分解による気泡の発生や、電極の変性が起こる可能性があり、実際的ではない。事実、4Vppの印加電圧を20分加える事で金電極の溶出が起こることが観察されている。金表面へのガンマグロブリンの吸着は洗い流し試験でも見られるように、非常に強固に結合しており、単なる静電吸着ではなく、何らかの化学結合を伴う可能性があると考えられている。この結果から、ガンマグロブリンの金への吸着を電界で制御するのは困難であろうと思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 鎮西恒雄: "人工材料表面の電界によるタンパク吸着の制御" 第32回日本人工臓器学会大会予稿集. S162-S162 (1994)
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[Publications] 鎮西恒雄: "センサー表面への生体高分子吸着の動態解析と制御" マイクロマシンの基礎技術の研究. 395-404 (1995)
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[Publications] 鈴木隆文: "神経再生型電極(第2報)-末梢神経の再生能力を利用した多チャンネル生体電極の製作と埋め込み実験" 第10回生体・生理工学シンポジウム論文集. 117-120 (1995)
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[Publications] 鎮西美栄子: "選択的後根ブロックのための内視鏡下脊髄誘発電位の測定" Jourmal of Anesthesia. 9s. A319-A319 (1995)