1994 Fiscal Year Annual Research Report
虚血・再潅流障害発生におけるミトコンドリア内膜透過性亢進の関与
Project/Area Number |
06454376
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
田中 孝也 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70121952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 直己 関西医科大学, 医学部, 助手 (10121972)
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Keywords | anoxia reoxygenation / ruthnium red / Ca^<2+> / oxidative stress / mitochondria / cyclosporin A |
Research Abstract |
虚血は細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)の上昇、ATP枯渇を引き起こすが、細胞障害は急激な酸素供給による再還流後に生じる。しかしながらその正確な機序は現在でも明らかになっていない。私どもは再潅流後にミトコンドリア(Mt)内膜透過性の亢進(MPT)が生じ、このことが虚血再還流(I/R)障害の原因であると推測している。正常ラット肝より採取した遊離Mtを用いin vitroでI/Rを作製した。Mtを呼吸基質を添加した溶液にsuspendし密閉する。60分間無酸素状態を保った後、通常大気に戻し再酸素化を行った。anoxia(60分まで)中、Mt膜電位は高値を保っていたが、再酸素化後急激な低下を示した。溶液中の[Ca^<2+>]は、anoxia15分ほどでMt matrixからの流出のため増加した。再酸素化により一時的な低下を示したがその後急激な増加を示した。Mt膨化は、anoxia中認めなかったが再酸素化により急激な膨化を示した。活性酸素産生量(lucigenin-enhanced chemiluminescence)は、anoxia後急激な低下を示し、再酸素化により一時的な増加を示した。Mt内ATPは、anoxia15分で前値の約20%、ADTはanoxia30分で前値の50%まで低下した。MPT阻害剤であるcyclosporin A,ruthenium red,およびEGTAを再酸素化直前に添加することにより、再酸素化後に生じる膜電位低下、[Ca^<2+>]上昇、Mt膨化は全て抑制し得た。なおこれらの薬剤は再酸素化後の活性酸素産生は抑制しなかった。SOD,catalaseを再酸素化直前に添加することにより再酸素化後の活性酸素産生は抑制し得たが、Mt膨化に代表されるMt障害は改善しなかった。以上より再酸素化後にMPTが生じMt障害が引き起こされることが明らかになった。なお再酸素化後に生じる活性酸素産生増加はMt障害の原因とはなっていないことも明らかになった。
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