1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝の病態生理における肝類洞壁細胞の意義と新らしい治療法の開発
Project/Area Number |
06454383
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
有井 滋樹 京都大学, 医学研究科, 講師 (50151171)
|
Keywords | エンドトキシン血症 / 冷保存肝 / 肝移植 / 無機能肝 / クッパー細胞 / 類洞内皮細胞 / 伊東細胞 / 肝特異遺伝子 |
Research Abstract |
I. エンドトキシン血症誘発肝傷害の機序とその制御について。エンドトキシン血症では肝マクロファージ(Mφ)が活性化し、TNFα、IL-1などの炎症性サイトカインやスーパーオキシドなどのフリーラジカルを過剰に産生することを示した。そして、これらが肝類洞内皮細胞傷害、白血球接着、類洞内凝固を誘導し、肝微小循環障害をもたらすことを明らかにした。そして、肝Mφのブロック、TXA_2合成酵素阻害剤の傷害抑制作用を示した。 II.冷保存肝移植後のearly graft failureにおける肝Mφ及び類洞内皮細胞の関与。肝の冷保存、再灌流により肝Mφが活性化することを肝MφのアシアロGM1やTNF α mRNAの発現度により明らかにした。類洞内皮のICAM-1発現も冷保存に伴い上昇し、肝Mφのブロックによりその上昇が抑制されることを示した。再灌流傷害は肝Mφのブロック、抗TNFα抗体、TXA_2合成酵素阻害剤、抗ICAM-1抗体により有意に抑制された。超微形態学的にも肝冷保存中には肝実質細胞よりも類洞内皮細胞の傷害がより早期に生じることを観察した。 III.伊藤細胞のNa^+-Ca^<++> exchangerについて。伊東細胞におけるCa^<++>調節機構としてNa^+-Ca^<++> exchangerの存在を特異的なブロッカーを用いることにより初めて実証した。また、in vitroにおいては活性化するに従いexchangerの転写レベルが亢進することもノザンブロット法にて示した。 IV.肝特異遺伝子(kan-1)について。その後の検索にてkan-1はヒトの胆汁酸抱合酵素の一つをコードする遺伝子であることが明らかになった。肝細胞癌、転移性肝癌約30例においてkan-1のmRNA発現を解析した結果、mRNA発現度は両者の鑑別に有用であること、さらに、肝細胞癌においては通常の臨床病理学的因子と独立した予後予知因子であることを患者の生存率、及び多変量解析により明らかにした(高発現は予後良好、低発現は予後不良)。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Chemical mediators release and surface marker expression of hepatic macrophages in rats with CC14-induced liver cirrhosis." Life Sciences. 54. 2071-2082 (1994)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Suppression of the reperfusion injury of cold-preserved livers by Kupffer cell blockade." Transplant. Proc.27. 765-767 (1995)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Involvement of ICAM-1 expression on sinusoidal endothelial cell and neutrophil adherence in the reperfusion injury of cold-preserved liverrs." Transplant. Proc.27. 759-761 (1995)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Expression of cytokine genes during liver regeneration after partial hepatectomy in rats." J. Surg. Res.58. 267-274 (1995)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Involvement of thromboxane A2-thromboxan A2 receptor system of the hepatic sinusoid in the pathogenesis of the cold preservation/reperfusion injury in the liver graft of rat." Transplantation.59. 957-961 (1995)
-
[Publications] Shigeki Arii: "Liver transplantation and hepatic sinusoidal cells." J. Gastroen. Hepatol.10. 92-96 (1995)