1994 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋内動静脈短絡モデルを用いた脳動静脈奇形循環動態の解明に関する研究
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06454420
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
児玉 南海雄 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40004999)
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Keywords | 脳動脈奇形 / 実験モデル / 頭蓋内動静脈短絡 |
Research Abstract |
脳動静脈奇形(AVM)摘出術後に脳浮腫や脳内出血などの致命的な合併症を来す症例が存在するが、この病態は未だ解明されていない。動物実験のモデルとして、頚部における動静脈短絡モデルが報告されているが、実際のAVMとは循環動態が異なり、適切なモデルではないという批判が多い。 そこで我々は頭蓋内において動静脈シャントを作成し、盗血による局所低灌流状態を来すモデルを作成し、AVMの循環動態に近いモデルであることを報告した(第52回日本脳神経外科学会総会、1993年、東京)。 このモデルを用い、低灌流領域におけるCO_2に対する血管反応性を検討すると、シャント開放前には正常に保たれていた血管反応性はシャント解放後に低下していた。また、シャントを閉鎖すると低灌流領域は前値に復するが、血流低下が大きいものは一過性に前値を越えること、その後に前値に復することが明らかとなった(第53回日本脳神経外科学会総会、1994年、徳島)。すなわち低灌流領域にはvasoparalysisを来していることが推測され、AVMでこれまで報告されている現象に近い病態であることが理解される。 今後、急性実験では血管内血流量の変化、特に血圧の変動に伴う経時的変化を検討する。更に急性実験の結果を踏まえて、慢性実験を行い慢性脳乏血モデルを作成する。以上の知見からより安全な治療法の選択および手術合併症の予防が可能になるものと思われる。
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