1994 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈遮断による脊髄障害の予知と血行再建法について
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06454431
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤本 吉範 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (30199377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末田 泰二郎 広島大学, 医学部, 講師 (10162835)
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Keywords | 大動脈遮断 / 脊髄虚血 / 対麻痺 / 脊髄誘発電位 |
Research Abstract |
1.大動脈遮断時の虚血による脊髄障害を、脊髄モニタリングを行い如何に予防するかを目的とし、実験を行った。 2.当初、肋間神経での導出を試みたが、実験後の解剖により、犬の腰膨大部はL4高位に存在し、Adamkiewicz動脈もL5神経根に沿って流入していることが判明し、犬では腰神経でのモニタリングが適当と判明した。 3.頭蓋磁気刺激等による、坐骨神経及び大腿神経記録電位の導出を試みたが、電位の導出は困難であった。 4.レーザー組織血流計を用いた脊髄血流量の測定は、2例に椎弓切除を行い、硬膜背側で測定をおこなったが、測定値は不安定であり、結論はでていない。 6.以上の基礎実験より、現在、頭蓋電気刺激、頚髄刺激、末梢神経刺激による、腰髄部複数高位での脊髄誘発電位の観察を中心に行っている。 7.実験後、麻痺の状態を観察できた生存した3例の検討からは、頭蓋電気刺激による脊髄誘発電位は電位も小さく安定していなかったが、descending ESCP(evoked spinal cord potential)の第2陰性波、segmental ESCPの第3陰性波で、潜時の遅延と、振幅の低下を認め、虚血との関連が疑われた。組織学的な検索からは、下位胸髄以下で虚血性病変は発生していた。また、虚血による障害は前角部より後角部にかけて強く認められた。 8.今後、非麻痺群を作成して、虚血にsensitiveな指標の検討を行い、電気生理学的変化と組織学的変化との相関を高位別に検討し、その後血行再建による脊髄障害予防の実験に進みたい。
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