1995 Fiscal Year Annual Research Report
同種移植組織の至適な処理・管理と地域的Tissue BANK(組織銀行)の確立
Project/Area Number |
06454432
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Research Institution | YAMAGUCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河合 伸也 山口大学, 医学部, 教授 (70034965)
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Keywords | 同種組織移植 / 組織銀行 / 冷凍保存 |
Research Abstract |
同種組織移植を臨床的に推進する目的で、同種組織(特に同種骨)の至適処理方法と安全な管理を検討し、その結果に基づいて院内Bone(Tissue)Bankのみならず地域的なBone(Tissue)Bankの確立を目標として研究を行った。 1)BNラットの骨、靱帯、神経組織を清潔下に摘出し、(1)-80°C冷凍保存、(2)段階的緩徐冷凍保存(プログラミング・フリーザ-による)、(3)加温後冷凍保存の3群を作製した。各種冷凍保存3ヶ月後にLewisラットに同種移植し、骨癒合状態をX線学的・組織学的にて検討した。各処理方法別には明らかな差異はみられなかった。 2)同種組織を安全に管理・保管する方法を検討する目的で、BNラットから摘出した各組織を(1)2重の清潔ポリ袋に包装(採取日等を記載)、(2)3重の清潔ポリ袋に包装(採取日等を記載)、(3)清潔な瓶(採取日等を記載)に入れて、ポリ袋にて包装、3群において-80°C冷凍保存を行い、6ヶ月経過後に起炎菌の検出を行い、Lewisラットに同種移植した。いずれも起炎菌は証明されなったし、移植の生着はほぼ良好であったが、保管の観点からは(1)群がスペースと繁雑さの面では有利であり、(2)群は持ち運びの安全性では有利であることが判明した。 3)地域的な組織銀行(Tissue Bank)の確立に向けて、先ずは院内の体制を確立した。同種組織の採取にあたり、微生物検査と血液検査を行い、安全性を確認し、2重以上のポリ袋に保管し、-80°C冷凍保存することとした。現在では患者の同意を得て、同意書に署名のうえ、同種移植の臨床的経験を積み重ねている。また、他の病院との連携をはかる目的で数回の協議を重ねており、現在は当院にて採取した同種組織を漱次他の病院にても活用し始めており、さらに将来的には他病院にて採取した組織を当院において使用することとしており、それによって広い地域でのTissue Bankのシステムを確立する方針である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] MITSUNORI SHIGETOMI,ET AL.: "EXPERIMENTAL STUDY ON VASCULARIZED BONE ALLOGRAFTS FOR RECONSTRUCTION OF MASSIVE BONE DEFFECTS" MICROSURGERY. 15. 663-670 (1994)
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[Publications] 山本久司ほか: "微小血管吻合術による同種関節移植術移植関節保存に関する実験的研究-第2報-" 日本手の外科学会雑誌. 11. 695-697 (1994)