1995 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経の慢性機械的刺激により出現する自律神経障害の臨床的・実験的研究
Project/Area Number |
06454435
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高木 克公 熊本大学, 医学部, 教授 (70040219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 淳二 熊本大学, 医学部, 助手 (10253725)
山鹿 眞紀夫 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (90145318)
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Keywords | 胸郭出口症候群 / 自律神経障害 / Laterarization / 交感神経 |
Research Abstract |
正常人及び機械的刺激によって症状の存在する胸郭出口症候群に対し、安静時の末梢交感神経系のLaterarizationを調査した。この調査は未だ、国内国外にて報告のないものである。まず20代から80代までの正常人53名に対しレーザードップラー皮膚血流計を用いて回帰直線ならびに相関係数評価による左右の皮膚交感神経活動を検討した。又、両側各々の同時期のパワースペクトル解析を0.039Hzから0.117Hzまでの積分値すなわち帯域面積として算出し、交感神経の活動性について検討した。 その結果、正常者における相対係数は20歳代-40歳代では有意に小さく、50歳以降では個体差が大きくなることが分かった。lateralizationは、40歳未満で小さく50歳以降で強くなる傾向が確認された。さらに胸郭出口症候群症例では、正常者20歳代-40歳と比較しlateralizationが有意に大きいことが判明した。パワースペクトル解析での交感神経の活動性を示すlow frequencyの帯域面積は健側と比較し患側では有意に低下しており、lateralizationを引き起こす要因として交感神経活動性の低下がその要因の1つであると考えられた。この新しい評価法は、末梢神経障害のある症例に対し、局所的な自律神経の機能評価とその治療効果判定の1つの指標として有効である可能性が考えられた。 機械的刺激を被っている胸郭出口症候群について、東邦メヂカルインデックス(TMI)を用いて自律神経症状と精神症状との関係について検討した。これらの症状の変動には、罹病期間がリスクファクターとして重要な因子となる可能性が示唆された。すなわち、発症当初は局所的な上肢症状であったものが、罹病期間の長期化に伴い全身的自律神経症状へと波及し、さらに長期化すると精神症状の出現が見られてくる。負荷刺激によりこれらの血流反応を評価すると、罹病期間の長期化に伴い交感神経副交感神経のいずれの低下も見られるが、副交感神経よりもむしろ交感神経の機能低下が大きい傾向が見られた。 腕神経叢に加わる圧迫と牽引による症状項目は、ほぼ同じ傾向にあるが、同法を用いた自律神経障害の程度はやや牽引型に強い傾向にあった(有意差あり)。
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