1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454443
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島田 康弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (50028669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 直久 愛知県衛生研究所, 所長
西脇 公俊 名古屋大学, 医学部, 講師 (10189326)
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Keywords | 肺水腫 / 血管透過性亢進 / 神経伝達物質 / ARDS / 神経原性肺水腫 / neuropeptide Y / Paptide YY / 肺循環 |
Research Abstract |
本研究では肺血管透過性亢進のメカニズムにおける神経系の役割を探ることを目的に実験を行った。平成6年度までに、交感神経系にノルエピネフリンと共存する神経伝達物質であるneuropeptide Y (NPY)に肺血管透過性亢進作用があることを明らかとし、さらにレセプターサブタイプのうちY3-like receptorを介してその作用を発現している可能性を示した。平成7年度のまとめとしては、 1.摘出肺潅流標本を用い、血管内に投与したカーボン粒子の血管外への漏出を指標とし、NPYの血管内、気管内投与の肺血管透過性に対する影響を種々の条件下でに検討した。NPYは用量依存性に肺血管透過性を亢進させた。その作用はノルエピネフリン、プロペラノロールにて増強された。また、ヒスタミンレセプターアンタゴニストであるメピラミンの前処置の影響を検討した。ノルエピネフリン、プロペラノロール存在下でのNPYによる肺血管透過性亢進は、ヒスタミンレセプターを介するものでないことを明らかにした。 2.組織学的検討に本格的に着手した。正常、生食負荷による肺水腫、およびフィブリン肺水腫ラットを作製し、脳・星状神経節・肺の組織標本を、本研究補助金にて購入したクライオスタットにて作成した。 (1)平成6年度に作成したNPYのmRNAに対するプローベを用いて、in sutu hybridizationを行い、脳・星状神経節・肺でのNPYのmRNAを持つ神経細胞の分布、発現量を検討中である。また、NPYは交感神経末端でカテコールアミンと共存していることが知られているため、カテコールアミン合成酵素の一つであるタイロシンハイドロキシラーゼのmRNAと相補的に結合するプローベを作成した。そのプローベとラットの脳から抽出したRNAとの結合性をnorthern hybridizationにて確認した。そのプローベを用いて、同様にin situ hybridizationによる検討を行う予定である。 (2)NPYに対する抗体を用い、免疫組織学的に脳・星状神経節・肺におおけるNPYの分布、含有量を検討中である。
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[Publications] 石川直久: "神経原性肺水腫における血管透過性亢進の病態生理" 日本病態生理学会雑誌. 3(2). 28 (1994)
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[Publications] 石川直久: "肺循環(障害)と血管作用性物質" 臨床科学. 29(10). 1377-1383 (1993)
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[Publications] 西脇公俊: "神経原性肺水腫" 集中治療. 5(10). 985-991 (1993)
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[Publications] SAKAKIBARA Hiroko: "Effects of sympathetic nerve stimulation on lung vascular permeability in the rat" Am.Rev.Respir.Dis.145. 685-692 (1992)