1994 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経支配を含めた精管内精子輸送機構の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
06454455
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 博幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 聡史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10186257)
佐藤 健次 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20107246)
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40161541)
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Keywords | 精子輸送 / 自律神経 / メカニズム |
Research Abstract |
平成6年度は以下の各項目について下記の知見を得た。 I.精液排出に対する骨盤内自律神経の相互作用: 骨盤神経を電気刺激してもseminal emission(後部尿道への精液の排出)は生じないが、下腹神経切断後には同神経の電気刺激でseminal emissionが生ずることが判明した。すなわち交感神経幹から骨盤神経を介する交感神経により下腹神経の働きが代償されたと考えられが、骨盤神経刺激による反応は、交感神経幹刺激による反応よりはるかに大きく、この代償作用に対する骨盤神経内の交感-副交感神経の相互作用が想定された。現在さらにin vitroで検討中である。 II.精管内精子輸送メカニズムの検討:seminal emissionを支配している下腹神経を刺激した場合、精巣上体から後部尿道に至る精路において内圧の上昇が認められるのは精液の貯留部位である精巣上体尾部のみであることが判明した。また、精巣上体および精管内の神経を直接電気刺激しても同様の結果が得られた。精巣上体尾部以外の上記精路は、輸送されてきた内容液によりその壁が伸展されると内圧が上昇することが判明した。神経経由のシグナルによる精巣上体尾部内圧の上昇、それに伴う内容液の輸送、引き続いて起こる精管壁の伸展による内圧の上昇が精子輸送の主要なメカニズムと考えられる。 III.自立神経縫合の検討: 両側下腹神経の切断、縫合を顕微鏡下に行い、再縫合による機能の回復を検討中である。 IV.精管直接電気刺激による精液排出の臨床応用の検討: 犬の精巣上体尾部から精管膨大部に至るどの部位を直接電気刺激してもseminal emissionが生ずることが判明した。ヒトにおいても精管の直接電気刺激にて精管内精子輸送が生ずることが判明し、射精障害患者に同方法を用い精子を採取できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kihara K.,Sato K.et al.: "A new method to generate canine seminal emission and its application to men : Direct electrical stimulation of the vas deferens." J.Androl.15. 479-483 (1994)
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[Publications] 佐藤健次,木原和徳,他: "犬のseminal emissionと内尿道口の閉鎖機能を支配する腰内臓神経の腰椎レベルでの起始構成について" 自律神経.
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[Publications] 佐藤健次,木原和徳,他: "犬の下腸間膜神経節を構成する中央線維群と側方線維群のseminal emission、内尿道口の収縮ならびに結腸支配に関する研究" IMPOTENCE. 9. 199-205 (1994)