1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腎疾患における肝細胞増殖因子(HGF)の発現とその調節機構に関する研究
Project/Area Number |
06454459
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Research Institution | Nagasaki Univeristy |
Principal Investigator |
金武 洋 長崎大学, 医学部, 助教授 (50100839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野俣 浩一郎 長崎大学, 医学部, 助手 (80189430)
斉藤 泰 長崎大学, 医学部, 教授 (70039832)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 腎再生因子 / 腎細胞癌 / 腎嚢胞 / 腎移植 |
Research Abstract |
肝細胞増殖因子(HGF)は組織再生因子として肝臓をはじめ腎臓でも機能していることが明らかになっており、ヒト腎疾患においても何らかの役割をもっていることが推測されている。今回ヒト腎疾患ににおける肝細胞増殖因子(HGF)の発現とその調節機構に関する研究を行った。まずいくつかの腎疾患患者の血中HGF濃度を測定してみた。コントロール健常者の血中HGF濃度に対し、腎細胞癌(RCC)群及び術後安定期の腎移植レシピエント(Tx)群では有意な上昇が認められた。RCC群についての腫瘍の進展度別の比較では、進行例ほど高値を示す傾向が認められた。また腎梗塞及び急性腎不全の症例についても発症後早期の血中GF濃度がいずれも上昇しており、その後の腎機能の回復に伴い下降する傾向を認めた。つまり急性尿細管壊死(ATN)によりHGFが合成され、傷害された尿細管細胞の増殖に働いていると考えられる。in situ hybridization及び免疫染色の結果HGFは、障害部附近の血管内皮細胞やマクロファージで産生されることも判明しパラクライン機構により作用していると考えられるが、腎障害時に無傷は肺でHGFのmRNAの発現増加が見られることや、経静脈的HGF投与により尿細管細胞の増殖が促進され腎障害の程度もおさえられることからエンドクリンによる作用機序も考えられた。又我々は腎嚢胞形成におけるHGFの役割についても検討を行った所腎嚢胞内液のHGF濃度は血清に比べ、10倍の濃度を持ち、嚢胞形成因子の1つと考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] TUKASA IGAWA,et al.: "Hepatocyte growht factor may funciton as reotropic factor regeneration in rats with acute renal injury." American Jpurnal of Physiology. 26. F61-F69 (1993)
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[Publications] Masakatsu Taide,et al.: "A study of growth factors in human renal ceyts with or without renal cell carcinoma." CLINICA CHIMICA ACTA. 217. 199-203 (1993)
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[Publications] 井川 掌、他: "腎細胞癌における肝細胞増殖因子(HGF)の意義" 長崎医学会雑誌. 68(3). 326- (1993)
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[Publications] 井川 掌、他: "ワークショップ:急性腎不全 その発症、修復機序に関する最近の進歩腎再生因子と増殖因子 Hepatocyte Growth Factorを中心として" 日本腎臓学会雑誌. 35(5). 464-465 (1993)
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[Publications] 金武 洋、他: "尿細管間質細胞の肥大:過形成 調節因子" 日本臨床. 58(8). 1894-1899 (1995)
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[Publications] Masakatsu Taide,et al.: "Human simple renla cyst fluid contains a cyst formation promoting activity for Madin-Darby canine kidney cells cultured in collagen gel." Eur.J.Clin.invest.(in press). (1996)
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[Publications] 井川 掌、他: "Annual Review 腎臓 1994" 中外医学社, 269 (1994)
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[Publications] 神田 滋: "Bio Science用語ライブラリー:サイトカイン・増殖因子" 羊土社, 190 (1995)