1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川名 尚 東京大学, 医学部附属病院(分), 教授 (90010272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 栄 国立予防衛生研究所, 部長 (40072938)
小泉 佳男 東京大学, 医学部附属病院(分), 助手 (90240720)
佐藤 洋一 東京大学, 医学部附属病院(分), 助手 (00235417)
加藤 賢朗 東京大学, 医学部附属病院(分), 講師 (00185878)
小島 俊行 東京大学, 医学部附属病院(分), 講師 (90153535)
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Keywords | 母子感染 / ハイリスクグループ |
Research Abstract |
1)新生児ヘルペスは増加の傾向にあるが、本疾患は妊娠中の単純ヘルペスウイルス(HSV)の初感染例においてリスクが高い。そこで、妊娠時にHSVの初感染となり得る抗体未保有者がどの程度にあるかを検討した。 a)1994〜96年の3年間に妊娠577名のHSV抗体保有率をELISA法を用いて検討した。lgG抗体陽性者は298名(51.6%)で、残りの279例(48.4%)は陰性であった。20〜30年前はHSV抗体陰性者が10%以下であったが、現在約50%にも陰性者がいることは、新生児ヘルペスが今後増加する可能性を示唆している。 b)妊娠中にHSVに感染した例がどの位あるかをlgM抗体を測定して行なった。37名(6.4%)に検出された。このうち24名はlgG抗体も検出されていることから、これらは既に感染しているHSVの再活性化によって出現したと解釈された。13名(4.3%)はlgG抗体が陰性か低い価であり、妊娠中に感染したことを意味する。幸い出生児に特に問題はなかった。 2)サイトメガロウイルス(CMV)の胎内感染は時に、新生児・乳児に重症な後遺症を残す。妊娠中の初感染と既に感染しているCMVが再活性化されることを検討するために204例の妊婦についてlgM抗体を測定した。 lgM抗体陽性者は、妊娠中期が2.3%、後期では9.3%と有意に後期の方が高い頻度で検出された。妊娠後期のlgM抗体陽性者は全てlgG抗体も陽性で再活性化によるものであることが判明した。このうち2例の子宮頸管からCMVが検出されている。 妊娠中のlgM抗体の検出は、母子感染のハイリスク群を抽出することに役立つと思われる。
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[Publications] 川名 尚: "単純ヘルペスウイルス2型感染症" 医学のあゆみ. Vol.177 No.13. 890-892 (1996)
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[Publications] 川名 尚: "伝染性紅斑(リンゴ病)と妊娠-今年・来年はリンゴ病の当り年?-" 産婦人科の実際. Vol.45 No.7. 813-818 (1996)
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[Publications] 川名 尚,小島 俊行: "産道感染と帝王切開" 周産期医学. Vol.26 No.7. 973-977 (1996)
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[Publications] 川名 尚: "妊娠初期サイトメガロウイルス胎内感染の一例" 日本産科婦人科学会東京地方部会会誌. Vol.44 No.3. 252-255 (1995)
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[Publications] Takashi Kawana: "Type of Human Papillomavirus is Related to Clinical Features of Cervical Carcinoma" Cancer. 78. 1935-1941 (1996)
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[Publications] Takashi Kawana: "Analysis of Genomic Polymorphism Among Herpes Simplex Virus Type2 Isolates From Four Areas of Japan and Three Other Countries" Journal of Medical Virology. 45. 259-272 (1995)