1994 Fiscal Year Annual Research Report
母体脳の刺激による胎仔脳ニューロン興奮性の長期変化の分子機構
Project/Area Number |
06454475
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 彰治 山口大学, 医学部, 教授 (80112051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 義行 山口大学, 医学部, 助手 (10034927)
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Keywords | 胎仔脳 / 長期変化 / ホールセルレコーディング / 妊娠ラット / 視床下部 / 母体-胎児相間 / 発達 / 活動電位 |
Research Abstract |
本研究は、母体(ラット)と臍帯でつながった胎仔において、母体脳の電気刺激によって胎仔脳の神経活動が長期的変化をするというこれまでの実験結果(S.Nakamura,et al.,Am.J.Physiol.1995,in press)をさらに発展させるために、in vivo whole cell recording法を用いて検討を行った。 ウレタン痲酔(1.3/kg,i.p.)下で、妊娠ラット(20日目)は帝王切開を行い、露出した胎仔の頭部を固定した。胎仔の頭蓋骨を剥離し、大脳皮質の一部を露出した。ついで、whole cell recordingのためのガラス電極(先端の内径、1-2μm,電気抵抗、3-7MΩ)の内部を持続的に陽圧(50mmHg)にしながら、脳表面から脳幹腹側に向かって刺入した。電流クランプのもとで、本年度設備費で購入したアイソレーターを介して矩形波電流パルス(1Hz,0.05-0.2nA,30msec)を与え、電気抵抗の変化を観察しながら、電極先端を神経細胞膜に密着させ、ついでギガシールをするため減圧を行った。その後、細胞膜を負の電流パルス(15nA,1-10msec)で破壊しwhole cell recordingを実行した。本実験では、完全なギガシールに至らなかったが、静止電位の浅い記録を得ることができた。検索した胎仔脳幹神経細胞の65個中14個に対してwhole cell recordingを行なった。これらの記録には本年度設備費で購入したレコーダーとデータレコーダーを使用した。胎仔脳神経細胞の活動電位のdurationは長く(4-10msec)、また顕著な後過分極電位は見られなかった。このうち5個の神経細胞にたいして母体の視床下部電気刺激(1mA,20Hz,0.1msec)を3分間行い、活動電位の変化を観察した。その結果、母体刺激の30-120秒後から胎仔神経細胞の活動電位の振幅は発火頻度の減少とともに徐々に増加した。さらにそのとき後過分極様電位の出現が観察された。刺激終了後もこの反応は持続した。今後、パッチクランプ技術をさらに修練するとともに例数を増やし、長期抑制をひきおこす要因について詳細に研究していくことが必須である。
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Research Products
(1 results)