Research Abstract |
前年度に作成した角膜上皮のgene expression profileの中で,2つの遺伝子について解析した。第1は角膜上皮で最も発現頻度が高いGS02186であった。GenBankに対するDNAデータベースマッチでは,本遺伝子はapolipoprotein J(apoJ)であった。本研究では,粘膜上皮(角膜上皮,結膜上皮,膣上皮,食道上皮,胃粘膜上皮,小腸上皮,結腸上皮),表皮を標本として,apoJのmRNAおよび蛋白の発現をRT-PCR,in situ hybridization,免疫組織化学法で検討した。その結果,apoJmRNAは角膜上皮,結膜上皮,膣上皮,食道上皮で発現していたが,表皮では発現を認めなかった。また,角膜におけるapoJmRNAの局在部位は,主として基底細胞であった。apoJ蛋白は上記の粘膜上皮すべての表層部位に局在していたが,表皮には局在を認めなかった。以上から,apoJは眼表面で産生され,上皮の表層部位に局在して,何らかの生理的機能を果している物質であることが示された。 第2は角膜上皮に特異的で,データベースマッチのない未知遺伝子のうち,最も発現頻度が高いGS08025であった。GS08025は3′未満の部分的なcDNAで,それをプローブとして本遺伝子の全長のcDNAのクローニングを行った。その結果,ORFは498個のアミノ酸をコードしており,マウス,ウサギの角膜上皮特異的なケラチンK12と高い相同性を示した。本遺伝子はヒトのK12であると考えられた。 なおin vivo結膜上皮のcDNAライブラリー作成については,血液・上皮下組織の混入によるアーチファクトの除去に関して検討中である。
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