1995 Fiscal Year Annual Research Report
胎児外科手技を用いた胆道閉鎖症モデル(肝外胆管および肝)作成による病態解明の試み
Project/Area Number |
06454502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 龍司 東北大学, 医学部, 教授 (50004734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八巻 邦次 東北大学, 農学部, 助手 (70091759)
岡村 州博 東北大学, 医学部, 講師 (90124560)
千葉 敏雄 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20171944)
林 富 東北大学, 医学部, 助教授 (40125638)
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Keywords | 胎仔外科手術 / 胆道閉鎖症 / 羊胎仔 / 胎仔内視鏡 |
Research Abstract |
1.妊娠日数の決定 交配時期から妊娠日数がほぼ判明している妊娠羊を用い、かつ超音波下の胎仔大横径、大腿骨長、腹部横径の経日的計測から作成した発育曲線に、品種間の格差に対する補正を加えることにより、信頼性がさらに向上した。 2.羊胎仔を用いた動物モデルの作成 妊娠90〜100日の母獣を開腹して子宮を切開後、胎仔開腹下に胎仔胆嚢から肝外胆管内へのOK432の注入実験を行なった。この胎齢での胎仔手術における手術手技上あるいは術中術後管理上の問題は生じなかった。術後3週までに出産した新生仔の放射線学的・病理学的検討では、注入局所の炎症は明らかなるも、胆管の広範な炎症あるいは閉塞性変化、およびそれに関連した肝内の病理学的変化は確認されなかった。手術時胎齢、注入方法など、今後さらなる検討が必要である。 3.胎仔内視鏡手技の開発 (1)子宮露出法:妊娠95〜120日の母獣を開腹し、子宮を腹腔外に露出後、腹腔鏡手技を応用して子宮内に挿入したトラカ-ルを通して内視鏡を挿入し胎仔の観察を行なった。バルーン付きトラカ-ルが羊水漏出および子宮内膜剥離の予防に有用であった。施行中胎仔の状態は安定しており、胎仔体表および気管・気管支・上部消化管・下部消化管の詳細な観察および組織生検が安全に行ない得た。本研究がめざす胎仔内視鏡手技の安全性、有効性が確認された。 (2)子宮非露出法:前項の結果を踏まえて、母獣に対する侵襲軽減の目的で子宮非露出下に同様の手技を行なった。妊娠120日前後の母獣に対して超音波下に胎仔の位置を判定した上で、母獣の腹壁に小切開をおき、そこから子宮を露出することなしに、子宮内に挿入したトラカ-ルを通して内視鏡を挿入し胎仔体表の観察を行なった。手術手技上の問題はなく、例数を重ねることで前項と同様の詳細な手技が可能と思われる。 本法は、将来臨床応用されるであろう胎児腹腔鏡の前段階として、重要な意義を持つものである。
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