1995 Fiscal Year Annual Research Report
器官培養を用いた歯胚のTGF-β1と細胞外基質の遺伝子発現
Project/Area Number |
06454514
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲毛 稔彦 日本大学, 歯学部, 助教授 (90096769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若尾 孝一 日本大学, 歯学部, 助手 (60175057)
桑田 文幸 日本大学, 歯学部, 講師 (60120440)
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80014257)
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Keywords | 器官培養 / in situ hybridization / TGF-β1 / type I collagen / osteonectin / 歯胚 / BSP / osteopontin |
Research Abstract |
硬組織形成の実験モデルを用て,TGF-β1および細胞外マトリックスの遺伝子発現と蛋白の局在を観察し,歯や骨組織が毛製される過程でTGF-β1が硬組織形成細胞の分化に与える影響や細胞マトリックスの合成および分泌をどのように制御するものかを解明することを目的としている。 1.材料:(1)切歯および臼歯における観察:マウス切歯,胎生期13,から生後7日のDDYマウス臼歯歯胚を用い,光顕および電顕観察用の切片を作製した。 (2)器官培養:マウス胎生期18日の第1臼歯歯胚をBGLb培地で2,4,7日間培養した。またサイトカイン(TGF-β1,IL-1,EGF)存在下でも培養を行った。培養後,光顕および電顕切片とした。 (3)抜歯窩および切歯のTGF-β1およびosteonectinの遺伝子発現と局在を観察した。 2.組織学的観察 材料:(1,2)で作製した切片を光顕および電顕的に観察した。 3.in situ Hybidization 【mRNAのprobe】TGF-β1:マウスTGF-β1,ウシamelogenin,マウスtype I collagen, osteonectinおよびBSPを用いて,[α-^<35>S]UTP存在下でRNA probeを作製し,hybridizationを行った。 4.免疫組織化学:抗体はヒトTGF-β1,amelogenin,抗ラット抗体などを用いて反応を行った。 【結果】 一般培養では,培養2日後では硬組織形成は認められれなかった。培養4日後では歯乳頭細胞の一部は象牙芽細胞に分化し,歯乳頭側に象牙質が形成された。また培養7日にエナメル質が形成される像が観察された。 TGF-β1存在下で培養を行ったものでは硬組織形成は一般培養よりも早い時期に開始され,type I collagen, osteonectin, osteopontinおよびBSPの遺伝子発現は培養後2日,amelogeni_nでは4日後に発現が見られ,一般培養のものに比べ早い時期に遺伝子発現が観察された。 またIL-1存在下の培養では,歯乳頭および歯小嚢の増殖がまたEGF存在下ではエナメル器の増殖見られたが,両者は硬組織形成には影響を示さなかった。 この実験結果からTGF-βは歯の硬組織を形成する細胞の分化を促進し,さらに細胞外マトリックスの合成を制御することが証明された。またIL-1は歯乳頭および歯小嚢の増殖II関与しており,EGFはエナメル器の細胞分裂を促進することが判明した。しかしながら両者は硬組織形成には影響を示さなかった。
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Research Products
(2 results)