1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収のサーカディアンリズムと薬効の日内リズム発現機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06454518
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠田 壽 東北大学, 医学部, 教授 (80014025)
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Keywords | サーカディアンリズム / 骨吸収 / 骨形成 / カルシトニン / ビスフォスフォネート / 時間薬理学 |
Research Abstract |
平成7年度の実験において概ね次のような結果を得た。 1)平成6年度の実験において、一日の様々な時間帯に投与したカルシトニン(サーモン)の効果は、動物(ラット)の休止期にあたる明期において最大となり、活動期にあたる暗期に最小となることを確認した。今年度においては、こうした現象が発現するメカニズムを解明するための一環として、カルシトニンの効果が最大となる午後2時と、最小となる午前2時の二つの時間帯について、^3H-カルシトニンを用いてバインディングアッセイを、腎臓と骨組織について行った。その結果、腎臓においても骨組織においても、カルシトニン効果が高い午後2時のほうが^3H-カルシトニンの組織(リセプター)へのバインディング量は少なく、カルシトニン効果が小さかった午前2時の方がそのバインディング量はむしろ多いことが明らかとなった。この結果より、カルシトニン効果に見られる日内変動を規定する要因は、必ずしも、破骨細胞や腎尿細管細胞に存在するカルシトニンリセプターの数に比例するものではなく、むしろ、リセプター以後の過程等に存在する他の要因の変動による可能性が高いと考えられた。また、カルシトニンに対して拮抗的に働く副甲状腺ホルモンの血中濃度のサーカディアンリズムのパターンによっても、この現象を説明できないことが判明した。 ビスフォスフォネートの一つであるetidronateあるいはrisedronateを一日の異なった時間帯に連続的に投与した結果、その効果は投与時刻に依存して大きく変動することが明かとなった。また、ビスフォスフォネートの血中動態も投与時刻により異なることが明かとなった。
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[Publications] M.Ohtsuka,H.Shinoda: "Ontogeny of circadiandentinogenesis in rats." Archines of oral Biol. 40. 481-485 (1995)
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[Publications] 篠田壽: "ビスホスホネートの骨吸収抑制作用" 日本薬理学雑誌. 105. 285-294 (1995)
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[Publications] P.Lakafos,A.Blumsohn,R.Eastell,G.Tarjan,H.Shinoda,P.M.Stern: "Circadian rhythm of bone-resorbing activity in human serum" Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 80. 3185-3190 (1995)
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[Publications] 篠田寿,荘司佳奈子,鈴藤勝巳: "小動物骨塩量の簡易測定法" 東北大学歯学会雑誌. 13. 122-129 (1995)
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[Publications] 大塚美重,篠田壽: "生体リズムを記録する歯の成長線" 細胞. 28. 20-25 (1996)