1994 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面形態異常を有するミュータントラットおよびマウスの発生工学的解析
Project/Area Number |
06454520
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (30014161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 洋一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90237777)
山下 典子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00220343)
|
Keywords | 内田ラット / トランスジェニックマウス / 哺乳類全胚培養法 / Pax-6遺伝子 / HIV遺伝子 / 頭部神経堤細胞 / 顎顔面形態異常 |
Research Abstract |
1 Pax-6遺伝子に突然変異を有するミュータントラット(内田ラット)の解析 1) 突然変異の原因となっているPax-6遺伝子の発現をin situハイブリダイゼーション法により正常ラット胚において検索したところ、Pax-6遺伝子は外胚葉のレンズおよび鼻プラコード予定域と、前脳・後脳・脊髄において発現していることが明かになった。 2) ミュータントラットにおける神経堤細胞の移動の異常が神経提細胞そのものに起因するのか、それとも移動経路に原因があるのかを明らかにするために、正常な中脳神経堤細胞を正常ラット胚より単離し、蛍光色素にて標識したのち、哺乳類全胚培養下でミュータントラット胚の中脳部神経堤領域に注入し、移動パターンを解析したところ、異常は移動経路に依存していることが確かめられた。 2 HIV-1遺伝子を導入したトランスジェニック(TG)マウスの解析 1) 本研究に用いたHIV-1遺伝子を導入したTGマウスは、すべて切歯反対咬合を呈した。 2) このTGマウスにおいて、HIV-1mRNAは遅くとも胎齢14.5日から成獣に至るまで発現していることがわかった。 3) 3、5週齢および7週齢での頭蓋を計測し分析した結果、3週齢ではTGマウスとWTマウスの間に有意の差は認められず、5週齢および7週齢では有意の差が認められた。すなわち、上顎領域では、幅と前下方向への成長に、この間引き続いての劣成長が認められ、下顎領域の成長では5週齢以降においてcatch upが認められた。したがって、このTGマウスの反対咬合には、上顎の劣成長が深く関わっていることが示唆された。 4) 3、5週齢および7週齢での血清ALP活性値および無機リン濃度を測定した結果、TGマウスの血清の骨型ALPの活性値は3、5週齢および7週齢を通じて、WTマウスより有意に高かった。また、血清無機リン濃度は3週齢においてのみ、TGマウスの濃度がWTマウスより有意に低かった。これらの結果から、TGマウスに骨代謝異常があることが示唆された。 5) TGマウスにおける顎顔面頭蓋の異常および骨代謝異常は、HIV-1の遺伝子産物によって引き起こされた異常ではなく、挿入突然変異によるものであると考えられた。
|
-
[Publications] Osumi-Yamsahita,et al.: "The contribution of both forebrain and midbrain crest cellls to the mesenchyme in the frontonasal mass of mouse embryos" Developmental Biology. 164. 409-419 (1994)
-
[Publications] Fujiwara,et al.: "Uchida rat (rSey) : a new mutant rat with craniofacial abnormalities resembling those of the mouse Sey mutant" Differentiation. 57. 31-38 (1994)
-
[Publications] Motoyama,et al.: "Retinoic acid treatment induces cell death and the protein expression of retinoic acid receptor beta in the mesenchymal ces of mouse facial primordia in vitro" Deveopment Growth & Differentiation. 36. 281-288 (1994)
-
[Publications] Yasui,et al.: "Apicall cell escape from the neuroepithelium and cell transformation during termianl lip fusion in the house shrew embryo" Anatomy & Embryology. 189. 463-473 (1994)
-
[Publications] Lee,et al.: "Retinoic acid stage-dependently alters the migration pattern and identity of hindbrain ceural crest cells" Development. 121 (in press). (1995)
-
[Publications] Eto & Osumi-Yamsahita: "Apicall cell escape from the neuroepithelium and cell transformation during termianllip fusion in the house shrew embryo" Deveopment Growth & Differentiation. 37 (in press). (1994)