1995 Fiscal Year Annual Research Report
早期発症型歯周炎における多形核白血球の分子・遺伝子解析
Project/Area Number |
06454536
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉江 弘正 新潟大学, 歯学部, 助教授 (20143787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 裕 新潟大学, 歯学部, 助手 (70242435)
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Keywords | 早期発症型歯周炎 / 多形核白血球 / Fcγレセプター / 貧食能 / mRNA / 歯肉溝滲出液 |
Research Abstract |
1 末梢血並びに歯肉溝滲出液PMNのFcγレセプター発現 22名の成人性歯周炎患者における末梢血(PB)並びに歯肉溝滲出液(GCF)中PMNのFcγレセプターIII,IIの発現量(蛍光強度)を検討した。その結果、FcγレセプターIII,IIの蛍光強度は、PBではそれぞれ64.9±20.7,36.8±4.8に対してGCFでは29.6±14.2,14.5±3.7とp<0.001で有意に減少していた。 2 末梢血並びに歯肉溝滲出液PMNのFcγレセプター介在性貧食能 同患者におけるPB並びにGCF中PMNのFcγレセプター介在性の貧食能を検討した。その結果、貧食%と貧食指数はPBではそれぞれ56.0±9.9%,1.35±0.34に対してGCFでは13.1±11.4%,0.26±0.31とp<0.001で有意に減少していた。 3 Fcγレセプター発現とFcγレセプター介在性貧食能との関連 同患者におけるFcγレセプター発現と貧食能についてPB値に対するGCF値の減少率を求め相関性を検討した。その結果、FcγレセプターIIIと貧食能ではr=0.67,p<0.01であり、FcγレセプターIIと貧食能ではr=0.50,p<0.05となり、有意の相関性が認めらFcγレセプターIIIの方がより強い関連性があることが分かった。 4 Fcγレセプター発現機構のmRNAレベルでの検索 同患者のうち5名のPB-PMN,GCF-PMNについてCD16,CD32PC,CD32TC primerを使用して、RT-PCRを行いβ-actin mRNAに対する各レセプターのmRNAの割合を検討した。その結果、FcγレセプターIII,IIについてはPBでそれぞれ107.08±25.62%,14.77±8.12%に対してGCFでは65.46±10.91%,10.67±5.89であり、FcγレセプターIIIのみp<0.05で有意に減少していた。 以上の所見より、GCF-PMNの貧食能低下はFcγレセプターIII,IIの減少に起因し、転写レベルでの調節の関与が示唆された。
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