1994 Fiscal Year Annual Research Report
根尖性歯周炎の破壊進行に関与する炎症性サイトカインの分子生物学的研究
Project/Area Number |
06454546
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鶴町 保 日本大学, 歯学部, 講師 (60139201)
|
Keywords | 根尖性歯周炎 / サイトカイン / RT-PCR法 / 根管滲出液 / 多形核白血球 |
Research Abstract |
平成6年度においてRT-PCR法を用いたサイトカイン、特にIL-1α,IL-1β,TNF-αおよびIL-6の検出法をすでに確立した。そこで本法を用い、実際に根管滲出液中の細胞成分からRNAを抽出し、サイトカイン遺伝子の検出を試み、あわせて臨床パラメーターとの比較を行った。 その結果、根管滲出液中細胞成分よりIL-1α,IL-1βおよびTNF-αが種々の程度でその発現をRT-PCR法で認めたが、IL-6については全例とも認められなかった。またそれらの成績と臨床パラメーターを比較し有意差検定を行った結果、IL-1βについては、慢性症状を呈した症例より急性症状を呈した症例で有意に強い発現を認めた。なお、X線所見および根管滲出液中の性状による分類を行った症例では有意な差は認められなかった。 根管滲出液細胞成分として多形核白血球が大半を占めることはすでに明らかにされており、本症例でも約97%の高率であった。従来より多形核白血球には殺菌能、貪食能などの働きが知られているが、今回の成績よりIL-1やTNF-αなどのサイトカイン産生能を持つことが示唆された。またIL-6遺伝子は検出できなかったが、根管滲出液中細胞成分にはマクロファージやリンパ球などのIL-6産生細胞が少数(<3%)含まれていたが、RT-PCR法の検出限界以下であることが考えられた。また、臨床パラメーターとの相関関係よりIL-1βの強い発現が急性炎症で見られたが、産生細胞より認められるIL-1はβがαと比較して多量に検出されることを反映したと思われた。IL-1βは、破骨細胞活性化因子のひとつとされているが、さまざまな組織障害性を示すことから炎症の活動状態を知る手掛かりになることが推察された。
|