1995 Fiscal Year Annual Research Report
光硬化型グラスアイオノマーセメントの象牙質接着性にプライマー処理がおよぼす影響
Project/Area Number |
06454547
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野瀬 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (70059426)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 進 日本大学, 歯学部, 講師 (40120365)
|
Keywords | 光硬化型グラスアイオノマーセメント / 象牙質接着強さ / プライマー |
Research Abstract |
光硬化型グラスアイオノマーセメント(以後,光セメント)の短所のひとつである象牙質接着強さを向上する目的から,光セメント専用の接着補助材としてプライマーの開発を行った。 リン酸エステル系機能性モノマーを含有するプライマーを試作した。試作プライマーの組成は,リン酸エステルモノマーの他にHEMA,水およびエタノールより成る。これらの組成の中からリン酸エステルモノマー濃度,HEMA濃度,エタノール濃度および溶媒の種類を変えた試作プライマーを作製して象牙質接着強さにおよぼす影響について検討を行った。 リン酸エステルモノマー濃度の影響では,その濃度が高濃度になるに伴い接着強さが向上し,モノマー濃度10%で最高値を示した。しかし,5%のものとの間には差は認められなかった。ついでプライマー中のHEMA濃度が象牙質接着強さにおよぼす影響の検討では,リン酸モノマー含有率を5%に固定し,HEMA含有率を変更した試作プライマーを作製した。象牙質接着力におよぼすHEMA濃度は,35%のものが至適であることが判明した。エタノール濃度および溶媒の種類が象牙質接着強さにおよぼす影響の検討では,エタノール濃度は20%で有効でありそれ以上でもそれ以下でも象牙質接着強さは低下する傾向であった。溶媒の種類をエタノールとアセトンのものを試作し検討したところ溶媒の違いによる差は認められなかった。 以上の検討から,至適濃度の構成によるリン酸エステルモノマーを含有した試作プライマーは,現在臨床でおこなわれている方法に比較すると2倍以上の象牙質接着強さを発揮することが判明した。 今後は,リン酸エステル系に加えてカルボン酸系の専用のプライマーについても検討が必要であると考える。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 野口俊也: "光硬化型グラスアイオノマーセメントに関する研究-とくに象牙質の表面処理および照射条件が接着強さにおよぼす影響について-" 日本歯科保存学雑誌. 37. 1316-1321 (1994)
-
[Publications] 斉藤裕樹: "光硬化型修復材料に関する研究-とくにカンファーキノンを含有するプライマーに対する照射が象牙質接着強さおよび象牙質界面の接触角におよぼす影響について-" 日本歯科保存学雑誌. 37. 1659-1667 (1994)
-
[Publications] MIYAZAKI, M.: "Factors Influencing Deutin Bond of a Tni-cured Type II Glass lonomer." J. Deut. Res. 73. 329 (1994)
-
[Publications] AOSHMA, Y.: "Effect of Envioromeut on Deutin Bond of Type II Light-cured Glass lonomers." J. Deut. Res.73. 329 (1994)
-
[Publications] 吉沢弘志: "光硬化型グラスアイオノマーセメントに関する研究-とくにリン酸エステル系機能性モノマー濃度が象牙質接着強さにおよぼす影響について-" 日大歯学. 70. 267 (1996)