1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454571
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 講師 (40197140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 智子 昭和大学, 歯学部, 助手 (60260907)
山下 夕香里 昭和大学, 歯学部, 助手 (50260906)
松田 千春 昭和大学, 歯学部, 助手 (90229485)
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Keywords | 粘性の異なる液体 / 嚥下動態検査 / 嚥下音 / 誤嚥 |
Research Abstract |
本年度はまず、健常成人15名を被験者として粘性の異なる液体の嚥下時に産生される嚥下音について音響分析を行い、正常嚥下音の音響特性の定量評価を行った。すなわち、嚥下物としては水ならびにバリウム(100%W/V)5mlを用い、各々を10回ずつ嚥下させ、この際に産生される嚥下音をわれわれの方法に基いて被験者の頸部より加速度ピックアップを用いて採取し、テープレコーダーに録音した。嚥下音の音響分析はソナグラフ(Kay DSP Sonagraph 501)およびマイクロコンピュータを用いた嚥下音分析システム(新規開発)により行い、嚥下領域および周波数領域の特性について評価した。その結果、粘性の高い液体(バリウム)の正常嚥下時に産生される嚥下音は粘性の低い液体(水)嚥下時の嚥下音に比較し、持続時間は長く(バリウム;約0.69秒、水;約0.47秒)、また最大音圧はより小さかった(バリウム;約37.9dB、水;約39.5dB)。 次に嚥下障害患者についてはバリウム嚥下による嚥下動態の検査(透視ビデオ法)の歳に嚥下音も同時に記録し、誤嚥を伴った嚥下音について上記の方法に基いて音響分析を行った。その結果、バリウム誤嚥時に産生される嚥下音はバリウムの正常嚥下時に産生される嚥下音と比べ、持続時間は長く(誤嚥;約0.79秒、正常嚥下;約0.69秒)最大音圧は低く(誤嚥;約35.5dB、正常嚥下;約37.9dB)、周波数特性では600Hz以下の低域部のエネルギー成分が多く認められた。上記の結果については1994年10月に米国で開催されたSecond Workshop on Cervical AuscultationおよびThird Annual Dysphagia Research Society Meetingにて報告した。 現在、濃度の異なるバリウムの粘性を粘度計(Instruction Manual Viscotester VT Haake社製)を用いて測定し、透視ビデオ法を用いて嚥下物の粘性が嚥下動態に及ぼす影響を評価中で、また同時に産生される嚥下音についても音響分析を行っている。さらに嚥下音の周波数領域の分析においては定量性ならびに異常音の検出精度を上げる目的で各種オクターブ分析と様々な帯域幅における平均音圧の計測を行っている。
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