Research Abstract |
当所,平成6年度中に,リン酸四カルシウムを用いた根管充填剤を完成させ,動物実験に移行する予定であったが,ISO規格を満足させる理工学的性質を有した根管充填剤の開発に予定外の時間を有したため,平成7年度より動物実験に移行することにした。なお,動物実験に関しては計画どうり行う予定である。 平成6年度は根管充填剤への応用の可能性を検討し,右に示すような組成を持つ2種類のセメントCPO(硬化液にオレイン酸を使用)とCPE(硬化液にユ-ジノールを使用)を試作した。各セメントを粉液比,P/L=4(g/μl)で練和し,ISO規格6876-1986(E)に準じ,その操作時間,硬化時間,被膜厚さ,溶解度,および崩壊度を測定した。 CPO,CPEは,それぞれ,被膜厚さは25μm,30μmであり,溶解度および崩壊度は0.48%,0.7%であった。これらの値はISO規格の,被膜厚さ50μm以下,溶解度および崩壊度は3%以下を満たしていた。また,規格が定められていない硬化時間については,それぞれ約30分,約20分であった。以上の結果,リン酸四カルシウムを粉末の主成分とした試作セメントは,硬化液にオレイン酸を用いても,ユ-ジノールを用いても,材料学的には充分満足の行くものが得られることが判明した。 平成7年度は,これらの2種類の試作セメントを当所の計画どおり,動物実験に供する予定である。
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