1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454592
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 直人 北海道大学, 薬学部, 教授 (40221105)
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Keywords | 骨形成因子 / TGF-βスーパーファミリー / 自己リン酸化 |
Research Abstract |
研究代表者は平成6年度に骨形成因子特異的受容体の構造と機能に関する研究を行った。骨形成因子受容体は細胞内領域がセリン/スレオニンキナーゼであり、細胞増殖因子の受容体としては既知のチロシンキナーゼ型受容体と異なり、新しい情報伝達経路を担っていると考えられた。そこでまず、セリン/スレオニンキナーゼによる自己リン酸化について検討した。しかしながら、骨形成因子受容体単独での自己リン酸化は起こらないという結論が得られた。骨形成因子と同様にTGF-βスーパーファミリーに属するアクチビンやTGF-βの受容体の研究から、同スーパーファミリーに属する因子の受容体には構造の異なる二種類(type I,II)の受容体の存在が確認されており、type II受容体がtype I受容体をリン酸化することが明らかにされつつある。本研究で用いた受容体はtype I受容体に相当することから骨形成因子受容体にもtype II受容体が存在し、type II受容体によってtype I受容体がリン酸化を受ける可能性が強い。 一方、チロシンキナーゼ型受容体ではキナーゼ領域を欠損した変異受容体を細胞内に導入することによって、内在の正常な受容体と二量体を形成し、内在の受容体を不活性化することが知られている(ドミナントネガティブ効果)。骨形成因子受容体についても同様な改変を行い、その効果について検討した。ドミナントネガティブ受容体は内在の受容体の機能を特異的に阻害し、骨形成因子によるシグナル伝達を阻害した。その結果としてXposteriorと呼ばれる転写調節因子の遺伝子発現を抑制したことから、骨形成因子がXposterior遺伝子を制御していることが明かとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Suzuki: "A truncated BMP receptor affects dorsal-ventral patterning in the early Xenopus embryo." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91. 10255-10259 (1994)
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[Publications] M.Maeno: "A truncated bone morphogenetic protein-4 receptor alters the fate of ventral mesoderm to dorsal mesoderm." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91. 10260-10264 (1994)
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[Publications] H.Okano: "Cloning of a Drosophila melanogaster homologue of the mouse type-1 bone morphogenetic proteins-2/4 receptor." Gene. 148. 203-209 (1994)
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[Publications] Y.Mishina: "Genomic organization and chromosomal location of the mouse type I BMP-2/4 receptor." Biochem.Biophys.Res.Commun.206. 310-317 (1995)
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[Publications] J.E.Schmidt: "Localized BMP-4 mediates dorsal-ventral patterning in the early Xenopus embryo." Dev.Biol.(in press). (1995)
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[Publications] 鈴木厚: "「アフリカツメガエルの背腹軸形成」Annual Review細胞生物学" 中外医学社, 9 (1994)
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[Publications] 鈴木厚: "「BMP受容体のクローニングと発生における役割」実験医学" 羊土社, 6 (1994)