1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植患者のリンパ球機能に基づくステロイド剤の選択と予後の改善に関する研究
Project/Area Number |
06454614
|
Research Institution | The Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
岡 希太郎 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40057336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
|
Keywords | kidney transplantation / glucocorticoid / drug selection / prednisolone / methylprednisolone / peripheal blcal lymphoeytes / survival rate / allograft |
Research Abstract |
腎移植の急性・慢性拒絶反応をステロイド剤で予防するとき、どのステロイド剤を選択するかによって治療成績が異なることが明らかになった。腎移植後の免疫抑制維持療法に適用し得るステロイド剤はプレドニゾロンとメチルプレドニゾロンであるが、生体腎移植および死体腎移植の両者において、移植後2年間の生着率で比較したとき、メチルプレドニゾロンが優れている。我々の臨床比較試験は腎移植患者を無作為に2群に層別し、一方の維持療法にプレドニゾロン/シクロスポリンを、他方にはメチルプレドニゾロン/シクロスポリンを用いて実施した。その結果、メチルプレドニゾロン群の2年生着率が統計学的有意差を持って優れていたということである。このような結果に至った理由は、慢性腎不全患者のステロイド剤に対する薬剤感受性に、薬剤特異的な耐性が存在するためである。すなわち、ほとんどすべての慢性腎不全患者はメチルプレドニゾロンに対して感受性であるのに対し、約20〜30%の患者がプレドニゾロンに対しては耐性を示すからである。我々は、慢性腎不全患者の末梢血リンパ球を移植術前に採取し、そのステロイド感受性を試験することによって、プレドニゾロン耐性を鑑別する方法を見いだしたが、上記の臨床成績によれば、ほとんどすべての患者が良好な感受性を示すメチルプレドニゾロンを選択することが、腎移植生着率によい影響を及ぼすことが示された。一方、プレドニゾロン耐性の原因について究明を試みたところ、耐性を示すリンパ球はアポトーシスによる細胞死を免れていることを見いだした。耐性リンパ球は何らかの理由によって、プレドニゾロン誘発性のアポトーシス細胞死を回避する能力を獲得していると思われるが、この能力はメチルプレドニゾロンに対しては機能していないと思われる。結論として、ステロイドによるリンパ球のアポトーシスは、ステロイドの種類によって臨床成績に影響するほど大きく異なっていることが明らかになった。
|
-
[Publications] T.Hirano et al: "Clinical significance of glucocorticaids" Transplantation. 57. 1341-1348 (1994)
-
[Publications] T.Hirano et al: "Glamicidin as a potential inonuncouppressant" J.Pharmacol.Exp.Therap.273. 223-229 (1995)
-
[Publications] T.Hirano et al: "Glucocerticoid resistance in peripheral blood lymphoeytes" Immunopharmacology. 36. 57-67 (1997)
-
[Publications] 平野俊彦他: "リンパ球の系剤感受性に基づく合理的な免疫抑制剤投与法" 病態生理. 14. 401-404 (1995)